本研究の目的は、ヒトと進化的に近縁でかつ類似の社会構造をもつ非ヒト霊長類であるマーモセットの示す親和的社会行動の分子神経基盤を明らかにすることである。そのためにマーモセットの示す親和的な社会行動の客観的評価を行い、親和的社会行動に関連する脳の大域的特徴を機能的ネットワークとして抽出する脳機能イメージング技術基盤を確立する。 Ⅰ.親和的社会行動の評価 親和的社会行動の客観的評価のために構築したテレメトリーシステムを用いた血圧変動に関するデータ解析を行った。また、社会性オペラント課題を実施するためにTWINケージを用いてタッチスクリーンおよび液体報酬による反応課題訓練を行った。 Ⅱ.脳機能イメージング マーモセット高解像度MRI脳画像(解剖画像、安静時機能画像)について、ヒト用脳画像処理パイプラインに準じた脳画像処理パイプラインの構築を進め、パイプラインを利用したドーパミン、セロトニン神経系の選択的トレーサーを用いたPET脳画像の皮質マッピングを実施した。新規PETトレーサーであるオキシトシン受容体選択的PETトレーサーの開発・評価を行い、当該PETトレーサーによるマーモセット脳PET画像を取得した。
|