公募研究
本課題の目的は、こころの中に過去や未来を描く働きが、進化史の中でいつどのように発生したのかを、多様な動物種の行動の分析により明らかにすることである。29年度の主要な成果を述べる。「過去を想うこころ」に関する成果:1)これまでにイヌ、ネコで行われた偶発的記憶に関する研究を、手続きを試行錯誤しながらデグーとシリアンハムスターで実施した。その結果、デグーにおいて、傾向はやや弱いものの、これまでのイヌ・ネコ・ウマでみられた結果と同様、前回の訪問で妨害物によって食べることができなかった場所を再訪する個体が多くみられた。国際誌投稿に向け準備中である。「未来を想うこころ」に関する成果:1)フサオマキザルを対象に、2種の遅延時間が明示される遅延見本合わせ課題を行い、遅延時間の初期にヒント希求フェーズを設け、サルがヒント希求をした場合にのみ遅延時間終了直後に見本刺激を再度提示した。2個体中1個体のサルは、遅延時間が長い条件でより頻繁にヒント希求を行った。この結果は、サルが遅延時間の長さに応じて、自身の記憶痕跡が弱まることを予測して、準備行動として情報を希求することを示唆している。この結果は国内学会にて発表された。2)ハトを対象とした研究では、長期記憶課題遂行時に、これから行う課題の知識度に応じて適切なヒント希求を行うかどうかを検討した。結果、難易度の高い課題が到来するときの方が、難易度の低い課題が到来するときよりも、頻繁にヒント希求を行うことがわかった。鳥類であるハトが「近い未来」の自身の知識度を予測し、行動を調節する可能性を示している。この結果はIwasaki, et al. (2018)にて公表された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Journal of Comparative Psychology
巻: 132 ページ: 88~96
10.1037/com0000087
Frontiers in Psychology
巻: 8 ページ: 02165
10.3389/fpsyg.2017.02165
Animal Cognition
巻: 21 ページ: 207~217
10.1007/s10071-017-1153-z