研究領域 | こころの時間学 ―現在・過去・未来の起源を求めて― |
研究課題/領域番号 |
16H01513
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 事象関連電位 / 基準時刻 / 時間視点取得 / 試行間位相同期 / ダイポール推定 |
研究実績の概要 |
本研究は,ヒト言語では発話時刻とは異なる時刻の出来事を伝達できること,また,現在とは異なる時刻に自身の立場を置いて発話が可能なことに着目し,言語刺激の操作によって「基準時刻(reference time)」と時刻についての視点取得を要因とした脳波計測実験を行った。前回の公募研究で基準時刻と心的発話時刻移動に対応する神経活動を検出したので,今年度は,検出された脳波について電源の推定を行い,より詳細な時間認知の神経基盤を考察すると共に、「脳の時間地図」への積極的な貢献を意図した。日本語の指示詞を利用して,過去と未来それぞれにおける時刻視点取得の神経活動を脳波によって考察した結果,時刻の視点取得の効果は,試行間位相同期(intertrial phase coherence, ITC)について有意であった。過去を表現する文の理解については,刺激呈示後,100-600 msの潜時帯で6-9Hzの周波数帯域において視点取得を伴う文は伴わない文よりITCの値が高く,ダイポール推定による推定発生源は中心前回(precentral gyrus, ブロードマンの6野)であった。未来を表現する文では,やはり刺激呈示後,100-600 msの潜時帯で視点取得を伴う文は伴わない文よりITCの値が高く,ダイポール推定による推定発生源は中心前回(ブロードマンの6野)であった。但し,未来については条件差が認められた周波数帯域は4-7Hzであった。今年度の研究成果は時間についての視点取得はシータ帯域に異なって現れることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者所属機関での倫理審査に時間がかかり、新しい実験を行うことができなかった。既にある実験データを再解析することで考察を行った。新知見を得ることができたが、予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には脳波ならびに脳磁場を指標とした新実験を予定していて、既に準備を進めている。また脳領域間の大域的同期については、まだ未検討なので、次年度に取り組みたい。
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