公募研究
本研究では,美や魅力による視覚的意識化の時間特性について,潜在性/顕在性を手がかりに明らかにすることを目的とした。平成29年度は,まず,連続フラッシュ抑制(CFS)課題を用いた研究を行った。非優位眼に顔刺激画像を提示し(優位眼には連続フラッシュ刺激を提示),顔刺激に感じられる魅力の程度が,どのように顔刺激の顕在的意識化過程を反映し,潜在的処理から顕在的処理へと至るかについて脳波計測(EEG)を用いた検討と,補足的な心理実験をまず行った。主な成果として,事象関連電位(ERP)やスペクトル成分分析に基づいた分析によって,CFSにより顔画像が意識にのぼる前に刺激の提示を停止し,主観的には顔そのものが見えない条件と意識にのぼる条件とで脳波を比較することで検討したところ,抑制により顔知覚が意識的にできない状態にあっても,魅力顔に対して刺激提示後200-300ミリ秒付近に後頭側頭領域の陰性脳波成分(EPN)の振幅が増大すること,さらに300-400ミリ秒のα波成分が大きくなることを明らかにした。しかし,本来の研究の仮説であった魅力に関連したα波・θ波の前頭葉左右非対称性については立証できなかった。本研究の成果は,まず心理実験による知見を現在国際誌に投稿中であり,現在改稿中である。また脳波研究の成果は国際論文誌に執筆中であり平成30年には投稿できる見込みである。また,経頭蓋交流刺激法(tACS)を用いて,周期的脳波誘導による顔の魅力判断にα波・β波の誘導がどのように影響を及ぼすかを検討したところ,20ヘルツというβ波成分を誘導したときに周期的誘導のない状態(sham)よりも有意に魅力判断が上昇することを明らかにしつつある。今後,実験参加者数を増やし,論文誌へと投稿していく予定である。その他,本研究申請と関連した芸術や感性認知の基礎となる研究の展開を行い,「時間の実験美学」の構築を試みた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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