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2016 年度 実績報告書

セルアセンブリ逐次活動による時間の認知と計測のメカニズムの解明

公募研究

研究領域こころの時間学 ―現在・過去・未来の起源を求めて―
研究課題/領域番号 16H01519
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

藤澤 茂義  国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (20589395)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードセルアセンブリ / 海馬 / 時間細胞
研究実績の概要

本研究では、海馬のセルアセンブリの逐次活動が実際にどのように時間を計測するのに利用されているのかそのメカニズムを明らかにすることを目的としている。昨年度は、行動課題として、時間の計測を必要とする意思決定課題(インターバル計時課題)の開発を行った。行動課題は、自由行動下のラットにおいて、数秒から十数秒の時間計測(インターバル計時)を行わせ、その時間の長さによって右か左の報酬場所の選択を行う行動課題である。昨年度は行動システムと適切なトレーニング方法を開発することにより、ラットは安定して行動課題を行えるようになった。また、このインターバル計時課題を行っているラットのニューロンの活動を観測するため、多チャンネルシリコンプローブを用いた大規模細胞外記録実験を行った。このシリコンプローブを複数用いることにより、自由行動中のラットから数十個の海馬ニューロンの活動の同時記録データが得られた。このインターバル計時課題において、海馬で時間経過がどのようにセルアセンブリの活動として観測されるか、また、その海馬の情報を、線条体など他の時間計測にかかわる脳領域がどのようにして読み取って、時間に認知に利用しているのかを、ニューロン活動パターンの相互作用解析を行うことにより今後明らかにしていく。脳波(局所電位)の位相同期などがインターバル計時における脳領域間の情報のやりとりに関係しているかどうも数理的に解析していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は、行動実験の開発と電気生理学記録実験において大きな進展があった。まず、行動実験として、時間の計測を必要とする意思決定課題(インターバル計時課題)の開発を行った。この課題では、ラットはトレッドミルの上を決められた期間走行し、その期間が短い場合は左方向のポートで、期間が長い場合は右方向のポートで報酬が得られる時間弁別課題である。課題はブロック式とし、ブロック1では5秒と10秒の弁別、ブロック2では10秒と20秒の弁別、ブロック3ではふたたび5秒と10秒の弁別を行う課題を設計した。この課題を行うことにより、海馬時間細胞が、時間弁別課題にどうかかわっているか、また時間の表現として絶対時間を表現しているのか相対時間を表現しているかを検証することができる。また、昨年度はこのインターバル計時課題を行っているラットの海馬にシリコンプローブ電極を埋入することにより、数十個のニューロンの活動を同時に記録することに成功した。これらの記録したニューロンのうち、多くの割合が時間情報に対する表象を有していることが確認された。予備的な解析により、これらの時間細胞は、上記の実験パラダイムに対し、相対的な時間を表象していることが示唆された。

今後の研究の推進方策

今後は、上述した行動実験および電気生理学記録実験の例数を増やすことで、より多くの神経細胞の活動を観測する予定である。また、より精度の高いデータ解析法を開発することにより、時間表現の相対性について詳細な定量を行うことを目標とする。さらに、これらの時間細胞が、休息中のリップル波発生時に再現活動を行っているかどうかも検討していく。以上に加えて、線条体の神経活動も同時に記録することにより、部位間で時間情報をどのようにやり取りしているかを研究していく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] Representations of spatial information of self and other in the hippocampus2017

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Fujisawa
    • 学会等名
      Janelia Conference Spring 2017: Neural Basis of Active Sensation and Navigation
    • 発表場所
      HHMI Janelia Research Campus、Ashburn、アメリカ合衆国
    • 年月日
      2017-03-27
    • 国際学会
  • [学会発表] 海馬シータ波位相前進による時間順序の表現2016

    • 著者名/発表者名
      藤澤茂義
    • 学会等名
      次世代脳プロジェクト 冬のシンポジウム2016
    • 発表場所
      一橋大学一橋講堂・学術総合センター(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-12-21
  • [学会発表] Representations of elapsed time in hippocampal CA1 during a temporal bisection task2016

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Shimbo, Ei-Ichi Izawa & Shigeyoshi Fujisawa
    • 学会等名
      Neuroscience 2016 (Society for Neuroscience Annual Meeting)
    • 発表場所
      San Diego、アメリカ合衆国
    • 年月日
      2016-11-15
    • 国際学会
  • [学会発表] Temporal and rate coding in hippocampus for integrations of non-spatial information2016

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Terada, Yoshio Sarurai, Hiroyuki Nakahara, Shigeyoshi Fujisawa
    • 学会等名
      Neuroscience 2016 (Society for Neuroscience Annual Meeting)
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2016-11-15
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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