我々は、高いメタン部分酸化反応活性を示すRu系触媒を用いてその反応機構についてTAP装によって検討した。本実験で使用したTAP(生成物時間分析)装置はパルスバルブによって反応ガス(パルス幅5ミリ秒)を触媒表面に供給し、その応答を差動排気を経て接続した質量分析計で、計測することでミリ秒から数十ミリ秒領域の触媒過度応答を測定する事が出来る。反応に関与する物質のマテリアルバランスや反応の収率、選択性が計測できた。更に、メタン部分酸化反応とドライリフォーミング反応の混在を示唆するデータが得られたが、そのためには、TAP応答曲線の定量的な解析・シミュレーションが必要となる。現在の TAP 実験の解析方法は理論モデルとしてリアクター内部でのガスの一次元拡散方程式が用いられている。フロー曲線全体を解析解と合わせることによりパラメータの事後分布を推定した。初期条件・境界条件も含めた理論モデルを用いて、ベイズ推論に基づく実験データ全体からパラメータを推定する方法を展開している。 ナノ粒子触媒のキャラクタリゼーションとして、形状とサイズを測定する透過電顕(TEM)による撮像が重要な手段となっている。TEM画像の解析・ヒストグラム作成のためのプログラムを開発した。また、担体としてメソポーラスシリカの一種であり、安定性が高いことが知られているSBA-15上にイオン液体を固定化して、そこに金やパラジウムなどの金属イオンを導入した触媒開発を行っている。導入した金属イオンは、2価のカチオンとなっているが、これを還元剤であるNaBH4を用いて、還元し、金属ナノ粒子触媒を調製している。この際に、還元剤の濃度とフィード速度をパラメーターとして制御することにより、金属ナノ粒子径が制御できることを見出した。
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