研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
16H01538
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中尾 裕也 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40344048)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非線形ダイナミクス / 縮約理論 / データ同化 |
研究実績の概要 |
大自由度で非線形性が強く正確な数理モデルの構築が難しい複雑なシステムは、地球科学現象や生命現象をはじめ実世界に数多く存在し、コンピュータや計測技術の進歩により、そのような系から大量の観測データが記録・蓄積されてきている。大自由度の非線形力学系を理解するためには、系を支配する本質的な変数に注目して数理モデルの次元を削減する必要がある。力学系における縮約理論は系の本質的な変数のダイナミクスを抽出する有効な数理的手法だが、系の数理モデルが知られていない場合には適用できない。本研究では、順問題である力学系の縮約理論を発展させるとともに、逆問題的なアプローチとして、観測データから系の主要なモードを抽出し、それらの相互作用を推定することにより、データ駆動型の縮約数理モデリング法の確立を目指す。この研究課題は新学術領域「疎性モデリング」の公募研究として平成26-27年度に実施した研究を引き続き発展させるものであり、今年度はその1年目である。力学系の縮約理論に関しては、連続な運動と不連続なジャンプを併せ持つハイブリッド力学系の振動状態に対する位相方程式の導出、リミットサイクル軌道に向けて緩和する軌道に沿ってKoopman作用素に基づいて定義した位相と振幅の従う方程式の導出などを実施し、また、観測データからの位相方程式の粒子フィルタによるデータ同化法や、カーネル化された動的モード分解によるKoopman作用素の固有値と固有関数の推定のための最適なパラメータ決定法の提案、その他、関係する研究を実施した。得られた結果の一部は、学術誌、国際会議、研究会などにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順問題である力学系の縮約理論を発展については、ハイブリッド力学系に対する新たな位相縮約法などを提案し、論文として公表した。逆問題については、位相モデルに基づくデータ同化手法の有効性が分かり、研究会等にて公表した。
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今後の研究の推進方策 |
カーネル化した動的モード分解による力学系のKoopman作用素の固有値および固有関数の推定がある程度有効であることが明らかになりつつあり、この結果を発展させてデータに基づく力学系からの縮約方程式の抽出法を提案してゆく。
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