研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
16H01547
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下平 英寿 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00290867)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 複雑ネットワーク / スケールフリー / 成長ネットワーク / 優先的選択関数 / ノンパラメトリック / ベイズ統計学 / リサンプリング / 仮説検定 |
研究実績の概要 |
大規模なネットワークデータが近年容易に入手できるようになり,ネットワークに潜む構造を理解することが応用上も重要になっている.ネットワークは多くの場合スパース性をもち,ノードとリンクからなるグラフと考えると各ノードが他のノードに接続するリンク数(次数)はノード数に比べてとても小さい.このような複雑ネットワークの研究が注目されているが,ネットワークデータを統計解析するツールの研究は不十分で,今後さらに重要になると考える.そこで本研究では,ネットワーク成長モデルの優先的選択関数や適応度などのメカニズムをネットワークデータから推定する方法を開発する.そしてリサンプリング法などの手法をもちいて推定結果の信頼度の計算を行い,科学的知見に結びつけることを試みる.とくに本年度は次の成果が得られた.(1)分析ツールのソフトウエアPAFitの開発を引き続き行い,優先的的選択関数と適応度の同時推定が安定に行えるようになった.ベイズモデルのハイパーパラメータ推定は従来困難だったが,クロスバリデーションの工夫によって問題が解決した.改良したPAFitはCRANにて公開した.(2)様々な分野のネットワークデータにPAFitを適用して,優先的選択関数と適応度のメカニズムが広く存在することを確認した.(3)リサンプリング法によってパラメータ推定の信頼度を計算する方法をいくつか実装して,シミュレーションによってこの方法の性質を比較検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成長ネットワークの成長メカニズムを推定する方法について従来より安定した推定が行えるようになった.これを実データに実際に用いることによって,単に方法論の開発ではなく,サイエンスとして興味深い知見が得られたことは当初の期待を超える成果といえる.リサンプリング法については検討を行い,予備的結果が得られている.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,ネットワークの成長メカニズムとして優先的選択度と適応度以外のものを含めることの検討や,成長履歴(タイムライン)が未知の場合への対応を検討する.また,リサンプリング法についても引き続き検討を行う.得られた手法を様々な実データへ適用する.
|