公募研究
本研究では、生命科学研究を刷新するデータ駆動科学実践のモデルケースとして、データの大規模(高解像度・ハイスループット・多様)化がすすむエピゲノムデータを用いて、データから直接的にヌクレオソームレベルのスケールにおける生命現象を説明するモデルを抽出する方法論の確立を目指している。本年度は、情報モジュール抽出手法の確立と、シングルセルデータによる検証のためのデータ取得および技術開発に注力した。我々は一昨年に、コンピュータを用いたヒストンバリアントの探索手法を開発し、マウスおよびヒトに存在する未知のヒストンH3様のバリアント遺伝子を多数報告した。そこで、本研究において情報表現の基本単位であるヌクレオソームを構成する基本要素である、ヒストンの新規バリアントが果たす固有の機能について共同研究の成果を発表してきた。精巣特異的バリアントとして同定されたヒストンH3tを破壊したノックアウトマウスでは、雄が無精子症となり、不妊となることを明らかとし、論文報告した。また新規のヒストン修飾については、ヒストンH4K20のアセチル化が哺乳細胞で存在することを発見し、ChIP-seqデータの解析によってH4K20acが遺伝子発現の抑制と関わっていることを見出し、これを報告した。また、少数細胞における転写産物の解析手法として、アセンブルベースの転写産物配列決定技術について論文発表を行い、国際特許を出願中である。また、遺伝子の3'非翻訳領域を選択的に解析する遺伝子発現の評価手法についても検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りシングルセルデータの取得と解析手法の技術開発を進めており、進捗はおおむね順調である。
28年度に解析手法の開発と並行して取得した一細胞レベルでの発現データ、高解像度なヌクレオソーム配置データから、特定のヌクレオソームの配置パターン(情報モジュール)の存在を検証し、その物理的実体の解明を目指す。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Cell reports
巻: 18 ページ: 593-600
10.1016/j.celrep.2016.12.065
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巻: 6 ページ: Article# 24318
10.1038/srep24318
巻: 6 ページ: 24228
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http://tx.bioreg.kyushu-u.ac.jp