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2016 年度 実績報告書

準素イデアル分解を用いた疎性へのアプローチ

公募研究

研究領域スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成
研究課題/領域番号 16H01556
研究機関関西学院大学

研究代表者

三浦 佳二  関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60520096)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードスパース・モデリング / 準素イデアル分解 / グレブナー基底 / 神経科学 / 多細胞同時記録
研究実績の概要

本研究課題においては、解を満たす入出力関係の方程式を求めることに役立つという代数幾何学の強みを活かして、最も疎な回帰式を求める形での応用を目指した。特に、準素イデアル分解によって、与えられた入出力パターンのデータをすべて満たす(無限個ある)多項式の中から、変数の数が最少であるものを求める手法を開発し、実データへと応用することを目指した。
本年度の研究においては、準素イデアル分解のアルゴリズムを実装するのみならず、大規模データに適用できるようにするためにスピードアップのための改良を行った。これにより、典型的な生命系実験室で得られる規模の現実的なデータ(100x100程度)に対して適用できるプログラムが開発できた。プレリミナリーな応用として、ショウジョウバエの脳の嗅覚系の神経細胞の電気活動パターンから行動を予測する、という試みも始めた。そして例えば、「行動(y)の説明のためには、いかなる非線形関係式を用いたとしても、神経細胞群の活動(x)から最低でも6変数以上はどうしても必要である」と言った型の結論を導くのに適したデータ解析手法であることが明らかになってきた。
さらに、もう一つの研究の柱としているニューラル・リングを用いたデータ解析法のプログラム開発も完了した。このプログラムが役立つ例の1つとして、脳の自発活動は実は細胞数よりもずっと少ない低次元で説明ができそうと言われているが、その次元を推定できる。プレリミナリーな応用も始めており、ラットの脳の海馬の神経細胞の自発活動を説明するには最低でも2つのパラメタが必要、と言った型の結論を導くのに適したデータ解析手法であることが明らかになってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題ならではのオリジナルなデータ解析を行うためのアルゴリズムの開発が予想以上に進み、計算速度まで考えた上でも満足のいくプログラムを完成させることができた。一方で、実データへの応用が今後の課題として残されている。

今後の研究の推進方策

前年度の研究においては、準素イデアル分解のアルゴリズムを実装するのみならず、大規模データに適用できるようにするためにスピードアップのための改良を行った。これにより、典型的な生命系実験室で得られる規模の現実的なデータ(100x100程度)に対して適用できるプログラムが開発できた。本年度は、開発したプログラムを、ショウジョウバエの脳の嗅覚系の神経細胞の電気活動パターンから行動を予測する試みへと応用する。そして例えば、「行動(y)の説明のためには、いかなる非線形関係式を用いたとしても、神経細胞群の活動(x)から最低でも5変数以上はどうしても必要である」と言った結論を導きたい。従来の回帰分析法の枠を超えた代数幾何学に基づく有用な方法として、手本となるようなデータ解析を行い、提案法を広めたい。
さらに、もう一つの研究の柱として、ニューラル・リングを用いたデータ解析の応用も行う。こちらもプログラムは前年度に完成しているため、実データに対して、適切な応用を見つけたい。例として、脳の自発活動の次元は実は細胞数よりもずっと少ない低次元で説明ができそうと言われているが、例えば「海馬の自発活動を説明するには最低でも2つのパラメタが必要」と言った結論を導きたい。こちらも従来の多変量解析的手法の枠を超えた代数幾何学に基づく有用な方法として、手本となるようなデータ解析を行い、提案法を広めたい。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A Grobner basis characterization for chordal comparability graphs2017

    • 著者名/発表者名
      Hidefumi Ohsugi, Takayuki Hibi
    • 雑誌名

      European Journal of Combinatorics

      巻: 59 ページ: 122-128

    • DOI

      10.1016/j.ejc.2016.08.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] パルス結合磁性体発振素子アレイとニューロモルフィックコンピューティングへの応用2017

    • 著者名/発表者名
      中田 一紀, 三浦 佳二
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報

      巻: 116 ページ: 37-42

  • [雑誌論文] 位相幾何学的アプローチに基づく3次元モーションジェスチャーからの特徴抽出2017

    • 著者名/発表者名
      中田 一紀, 三浦 佳二
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報

      巻: 116 ページ: 17-22

  • [雑誌論文] Dynamical systems design of silicon neurons using phase reduction method2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakada, Keiji Miura, Tetsuya Asai
    • 雑誌名

      Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE

      巻: 7 ページ: 95-109

    • DOI

      10.1587/nolta.7.95

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Pulse-Coupled Spin Torque Nano Oscillators with Dynamic Synapses for Neuromorphic Computing2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakada, Keiji Miura
    • 雑誌名

      Nanotechnology (IEEE-NANO), 2016 IEEE 16th International Conference on

      巻: - ページ: 397-400

    • DOI

      10.1109/NANO.2016.7751403

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 位相幾何学的アプローチに基づくネットワークセンシングとその応用2016

    • 著者名/発表者名
      中田 一紀, 三浦 佳二
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報

      巻: 116 ページ: 47-52

  • [学会発表] 有性生物の家系図ネットワークの粗視化2017

    • 著者名/発表者名
      伏尾佳悟, 三浦佳二, 水口毅
    • 学会等名
      日本物理学会 第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学 豊中キャンパス(大阪府・豊中市)
    • 年月日
      2017-03-19
  • [学会発表] 位相幾何学的アプローチに基づく3次元モーションジェスチャーからの特徴抽出2017

    • 著者名/発表者名
      中田一紀, 三浦佳二
    • 学会等名
      電子情報通信学会 MSS研究会
    • 発表場所
      島根大学(島根県・松江市)
    • 年月日
      2017-03-16
  • [学会発表] パルス結合磁性体発振素子アレイとニューロモルフィックコンピューティングへの応用2017

    • 著者名/発表者名
      中田一紀, 三浦佳二
    • 学会等名
      電子情報通信学会 NC/NLP研究会
    • 発表場所
      北九州学術研究都市 産学連携センター(福岡県・北九州市)
    • 年月日
      2017-01-26
  • [学会発表] 再帰呼出による非線形関係の最少説明変数選択2016

    • 著者名/発表者名
      三浦佳二
    • 学会等名
      科学研究費補助金新学術領域研究「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」 2016 年度公開シンポジウム
    • 発表場所
      慶應義塾大学三田キャンパス(東京都・港区)
    • 年月日
      2016-12-19
  • [学会発表] Pulse-Coupled Spin Torque Nano Oscillators with Dynamic Synapses for Neuromorphic Computing2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakada, Keiji Miura
    • 学会等名
      IEEE NANO 2016
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-08-23
    • 国際学会
  • [学会発表] 位相幾何学的アプローチに基づくネットワークセンシングとその応用2016

    • 著者名/発表者名
      中田 一紀, 三浦 佳二
    • 学会等名
      電子情報通信学会 CCS研究会
    • 発表場所
      余市町中央公民館(北海道・余市町)
    • 年月日
      2016-08-10
    • 招待講演
  • [学会発表] Real-Time Computing of Touch Topology via Poincare-Hopf Index2016

    • 著者名/発表者名
      Keiji Miura, Kazuki Nakada
    • 学会等名
      SIAM Annual Meeting 2016
    • 発表場所
      Boston (USA)
    • 年月日
      2016-07-11
    • 国際学会
  • [学会発表] パルス結合磁性体発振素子アレイの位相縮約法による解析2016

    • 著者名/発表者名
      中田一紀, 三浦佳二
    • 学会等名
      2016年 電子情報通信学会 NOLTAソサイエティ大会
    • 発表場所
      東京理科大学葛飾キャンパス(東京都・葛飾区)
    • 年月日
      2016-06-12
  • [学会発表] パルス結合磁性体発振素子アレイのダイナミクスとニューロモルフィックコンピューティングへの応用2016

    • 著者名/発表者名
      中田一紀, 三浦佳二
    • 学会等名
      LSIとシステムのワークショップ2016
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所(東京都・目黒区)
    • 年月日
      2016-05-16
  • [学会発表] 位相幾何学的アプローチに基づくタッチセンシングアルゴリズムのニューラルアーキテクチャ2016

    • 著者名/発表者名
      三浦佳二, 中田一紀
    • 学会等名
      LSIとシステムのワークショップ2016
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所(東京都・目黒区)
    • 年月日
      2016-05-16

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公開日: 2018-01-16  

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