研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
16H01563
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
大道 勇哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40733168)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スパースモデリング / 航空宇宙工学 / 数値流体力学 / 流体工学 / 固有直交分解 / 動的モード分解 / モデル選択 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、大規模流体シミュレーションデータに対するスパースモデリング解析の有効性を実証する。また、スパースモデリングを用いて、大気突入カプセル背後に生じる非定常な流れの支配的な空間構造及びその動的な構造・メカニズムを明らかにする。 採用初年度である平成28年度には、当初計画の通り、大気突入カプセル周りの流れ場の数値シミュレーション及び固有直交分解(POD)のプログラムを整備し、解析をおこなった。その結果、カプセル背後の一見複雑な流れ場から渦輪状の形状をもつ特徴的な組織構造を抽出することに成功した。また、より低周波数の変動をもつ組織構造も新たに明らかになった。この低周波数変動は、大気突入カプセルの問題点である飛行時の動不安定をもたらす流体現象と関係が深い可能性があるため、今後さらなる検討を進める予定である。 また、メモリ消費量の観点から大規模流体シミュレーションデータを取り扱うには、オンライン型の特徴抽出アルゴリズムが有効であることを見出した。そこで、オンライン型の固有直交分解を前処理として用いることで、大規模流体データの固有直交分解解析、動的モード分解解析、およびモデル選択を効率的に実施する枠組みを提案した。提案した枠組みを用いることで、これまで困難であった大規模なデータの動的モード分解およびそのモデル選択が可能となる。実際に提案手法を数千万セルオーダの大規模流体データに適用し、その有効性を確認した。 以上の研究成果はアメリカ航空宇宙学会(AIAA)による国際学会等で発表を行ったほか、査読付論文としても成果をまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は当初計画の通り、大気突入カプセル周りの流れ場の数値シミュレーション及び、固有直交分解(POD)のプログラムの整備・解析を終了した。また、当初計画では2年度目の計画の一部として予定していた大規模データを効率的に扱う手法やモデル選択の手法のアルゴリズム開発もほぼ終了させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果である、省メモリ型の固有直交分解解析、動的モード分解解析、およびモデル選択アルゴリズムを用いて、大気突入カプセル周り流れのより詳細な解析を進める。特に、初年度の固有直交分解による解析によって明らかとなった低周波数モードは、大気突入カプセルの動不安定現象に関わる重要なモードである可能性があるため、本モードを重点的に調べる計画である。 同時に、得られた研究成果は査読付論文としてまとめて発表する。
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