研究領域 | がんシステムの新次元俯瞰と攻略 |
研究課題/領域番号 |
16H01570
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三木 義男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 癌 / 遺伝子発現 / 治療感受性 |
研究実績の概要 |
本研究では、乳がん検体からmRNA, miRNAの網羅的情報を収集し、統合解析することで術前化学療法応答性予測システムの構築を目指す。対象は、病期Ⅱ~Ⅲa期の比較的進行した乳がんで、パクリタキセル、ドセタキセル、および、FEC followed by paclitaxelで術前化学療法が行われ、化学療法前に針生検検体が採取・保管されている症例である。mRNA情報に、新たにmiRNA情報を加え、高度な情報科学的解析技術を駆使して、miRNAとmRNAの統合解析を行い、真に治療応答性を規定する分子情報を抽出し、予測システムを構築、乳がん治療データベースの情報を用いて検証研究を進める。 本年度は、まず、FEC followed by paclitaxel(FEC+P)で術前化学療法が行われ、化学療法前に針生検検体が採取・保管されている48症例に対し、検体組織からLMM(Laser Microbeam Microdissection)を使用して、可及的にがん細胞のみを採取し、mRNA、miRNA、DNAを抽出した。mRNAについてマイクロアレイによる解析が終了し、FEC+P有効グループ、抵抗性グループにおいて発現の異なる遺伝子を、傾向性検定を用いて抽出し、遺伝子ネットワーク推定を進めている。また、これまでに、パクリタキセル感受性と発現量との間に関連が認められた候補分子GUCY1A2(グアニル酸シクラーゼ)、ERBB2(受容体型チロシンキナーゼ)、FGB-FGG(フィブリノゲンβ・γ鎖)について、細胞を用いたin vitroにおけるパクリタキセル感受性への影響を解析している。GUCY1A2、ERBB2に関し発現の増加と感受性増加が相関するという予備的な結果を得ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、乳がん検体からmRNA, miRNAの網羅的情報を収集し、統合解析することでタキサン系抗がん剤による術前化学療法応答性予測システムの構築を目的とする。これまでの研究から、パクリタキセル感受性と相関する3分子を同定、その機能的解析を進めると同時に、新たなFEC+Pによる治療症例から、mRNA, miRNAの抽出を終了、パクリタキセル感受性を規定する分子の探索に進んでおり、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で同定した3分子の機能的検証と、新たな症例の解析による情報を追加し新規感受性規定分子の探索を計画通りに進めていく予定である。
|