公募研究
申請者は、これまでに自らが同定したBIG3が抑制因子PHB2と結合して、その抑制機能を封じ込めてERの恒常的活性化を導くこと、またBIG3-PHB2相互作用を標的としたBIG3-PHB2結合阻害ペプチドは、BIG3からPHB2を解放することで、その抑制活性を回復することにより抗腫瘍効果を認めることを証明してきた。さらに、BIG3はPP1αの調節サブユニットとして機能し、その基質タンパク質として抑制因子のPHB2を不活化することを明らかにした。本研究では、PHB2の機能喪失の詳細な機能解析に加えて、新たな基質となる抑制タンパク質の同定を進め、並行して、乳癌臨床検体を用いた次世代シーケンス解析を通じて、エストロゲン依存性乳癌における新たなドライバー遺伝子の検索も行い、PP1α/ BIG3による新たなPHB2を含めた抑制因子の不活化機構を含めた乳癌の多段階発癌機構を提唱する。本研究の成果は以下の通りである。1.BIG3はPP1およびPKA複合体を形成し、エストロゲン刺激によるPKAの活性化を通じて、BIG3はリン酸化され、BIG3によるPP1αの阻害活性がキャンセルされることでPP1αの脱リン酸化活性が亢進することがわかった。この条件下において、PP1αによって抑制因子PHB2のS39のリン酸化を脱リン酸化されて、その抑制活性を阻害されてPHB2の不活化が導かれることを証明した。2.体細胞変異のない「無傷な癌抑制因子」および新たなドライバー遺伝子の同定するために、36症例の乳癌臨床検体における全エクソーム解析および15例のRNAseq解析を行った。その結果、新たな複数の体細胞変異体を認めるがん抑制候補遺伝子を同定し、その変異についてはサンガーシーケンス解析によって検証をした。これら体細胞変異をみとめる抑制因子が全ての乳がん症例に認める訳でなく、実際に乳がん細胞株においてはこれらの抑制因子の変異を認めない株も存在し。その細胞株においては、BIG3複合体によって不活化されていることが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Cancer Research
巻: - ページ: 2528
10.1158/0008-5472.CAN-17-2528
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