公募研究
皮質神経組織では、神経活動に伴う代謝恒常性を保つため、組織内で水分子の再分配が起こることが示されている。我々は、生体環境内の自由水分子のブラウン運動の強さを評価できる核磁気共鳴法(MRI)の撮像法、MRI水拡散強調画像法を用いて、皮質で水拡散能の定期的な揺らぎ(オシレーションがあることを見出した。皮質神経活動のオシレーションで形成されるネットワークと水拡散能で形成されるネットワークの違いをMRIを用いてヒトで調べた。左一次運動野(M1)との機能的結合に焦点をあて違いを調べたところ、左右M1間の機能的結合や左M1と反対側右運動前野、左M1と同側左頭頂葉などは水拡散能ネットワーク、神経活動ネットワークの双方で共有されていた。その一方、水拡散能ネットワークでは、左M1と左運動前野の間で機能的な結合が認められず、違いが認められた。ただし、MRIで神経活動を計測した場合、時間分解能が秒単位なため、水拡散能変化との時系列関係を見るには限界がある。神経活動の電気生理学的な変化と水拡散能の変化の関係性を見るため、ラットを用いたMRI撮像と神経活動を同時に記録する実験系を構築した。ラットのMRI撮像法は確立した。電気生理学的な手法をMRI撮像に組み合わせる手技の構築を進めている。
3: やや遅れている
MRI撮像中に神経活動を記録するためには、MRIからのノイズを極力抑え、神経活動を増幅させるアンプが必要になる。このアンプが故障してしまったため、修理に出している。MRI撮像と神経活動の同時記録のセットアップが遅れている。
ヒトで行った皮質水拡散能ネットワーク、神経活動ネットワークの同定を全脳レベルでマッピングを行い、両者の違いの包括的な理解に努める。同時に、動物によるMRI/神経活動の同時記録実験系の構築を進める。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Brain Stimul.
巻: 9(6) ページ: 859
10.1016/j.brs.2016.01.008.