研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
16H01604
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (90361518)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 聴知覚 / 視床 / 聴覚野 / 移動エントロピー / 情報 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,微小電極アレイを用いて,視床・聴覚野の活動を同時計測し,両領野の相互作用による発振パターンと情報流を関連付け,聴知覚と発振現象の因果性を検証することである.本年度は,視床の内側膝状体 (MGB)から大脳皮質の聴覚野 (AC)へ向かうボトムアップの経路と,聴覚野から視床へと向かうトップダウンな経路において,情報の流れを定量化することを目指した.具体的には,麻酔下のラットの視床・聴皮質から同時計測したスパイクデータを用いて視床-皮質における情報流を移動エントロピー(TE)により定量的に評価した.特に,各伝達時間遅れでの有意な情報伝達点が,MGB側の電極とAC側の電極との各組合せにおいて,どのような分布を持つか調べた.その結果,ACは1 - 20 msの時間遅れの範囲で情報を受け取っていた.このことから,ACは,1 - 20 msの時間窓のバンドパスフィルタを介して情報を受信しているとみなせる.なお,1 - 20 msの時間窓は,ガンマ帯域に相当する.ガンマ帯域は,皮質の局所的なコミュニケーションに重要な役割を担うが,その知見を本結果は反映していると考える.一方,MGB側が情報の受け手になっているとき,1 - 8 msでは一定の情報伝達を認めるが,それより大きな時間遅れでは,時間遅れとともに情報伝達が減少している,このことから,視床は,1 - 8 msの時間窓のハイパスフィルタを介して情報を受信しているとみなせる.したがって,ACとMGBは,それぞれ,バンドパスフィルタとハイパスフィルタを介して,情報を受信することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,移動エントロピーにより,視床と聴覚野間の情報流を定量化できた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験は,麻酔下による実験だった.今後は,覚醒下の実験でデータを取得し,本年度に確立した手法により,情報流を調べる.また,電気刺激で人工的な聴知覚を生成し,情報流の解析結果を因果的に検証する.
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