公募研究
脳内のある種の神経細胞には、サイン波状の周期的膜電位オシレーションを示す特徴があり、信号処理などに重要な関与をしていると考えられている。オシレーションの発現には細胞膜のイオンチャネルが必須と考えられているが、関与するイオンチャネルの種類や機能については不明な点が多かった。平成28年度の研究において、研究代表者らはオシレーションの発現に必須な要素と考えられている細胞膜の電気的特性である「resonance特性」に関与するイオンチャネルを解析した。延髄にある下オリーブ核の神経細胞から、ホールセル法で電気記録を行った。その結果、神経細胞膜のresonance特性にhyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channel 1(HCN1)と、電位依存性Ca2+チャネルの一種であるCav3.1チャネルが共同的に働くことが必須であることを明らかにした。Resonance特性の発現における両者の機能的役割は異なっており、HCN1はResonance特性の発現にダイレクトに関与するのに対し、Cav3.1はHCN1が作り出した膜電位変化を増強する作用があることが分かった。また、これらの分子は下オリーブ核神経細胞の樹状突起上にクラスター状に分布するが、両者の分布はお互い重ならないことも分かった。これらの成果をCell Reports誌にて発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究成果び一部をCell Reports誌に発表した。
平成28年度までの解析から、神経細胞のResonance特性における電位依存性K+チャネルの関与を示唆する結果が得られている。電気生理学的なイオンチャネルの特性の解析、特異的抗体による形態学的な解析、候補遺伝子の組み換えマウスの作成を進め、電位依存性K+チャネルのresonance特性における機能的な意義を明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Cell Reports
巻: 16 ページ: 994-1004
10.1016/j.celrep.2016.06.053.
巻: 17 ページ: 2004-2014
10.1016/j.celrep.2016.10.073.
Neuron
巻: 91 ページ: 1097-1109
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http://home.hiroshima-u.ac.jp/physiol2/