研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
16H01618
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70312668)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳神経科学 / 非侵襲的脳活動計測 / 情報システム / ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,脳波コヒーレンスのデータ(数十チャンネル)を,課題遂行に仮定される情報ネットワーク(数百~数千ノード,疎グラフ)と対応づけることで,脳波関連の機能情報ネットワークの推定手法を提案することである.平成28年度は,まず,生理学的に妥当な神経回路のシミュレーション(4脳部位,各8,000神経細胞)を行い,複数脳部位にわたる神経ネットワークにおいて,局所的な活動構造と脳部位間の脳波コヒーレンスの関連が検出可能であることを確認した.代表者は以前に2領野回路で類似の結果を報告しているが,多脳部位ネットワークにおいても同様に成り立つという結果は,局所情報回路の推定手法の基盤を与える意義がある.次に,局所活動の構造と脳波コヒーレンスの関連を利用して,局所情報回路の推定手法を構築した.この手法では,脳波各チャンネルにおける局所情報ネットワークの寄与を変数とした最適化問題を解くことで,入力刺激に対する局所活動及び脳波コヒーレンスの予測を与える.5-20ヶの局所回路の活動の重畳として与えられた脳波コヒーレンスの疑似データでは,5チャンネル以上の場合に良好な予測値が得られることが示された.これらの結果は,局所活動の構造と脳波コヒーレンスの相関を利用することで,脳波からより局所的な神経活動を推定できる可能性を示す.今後は同提案手法が実データにも適用できることを検証する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画のとおり,平成28年度に脳波コヒーレンスによる情報ネットワークの推定手法を構築した.さらに,疑似データによる結果では,各チャンネルにおける局所回路の寄与度を変数とすると,ノイズや局所回路の数などにはあまり依存せず,良好な結果が得られることを確認した.一方,同提案手法を実データに適用するためには,その基盤である局所活動構造と脳波コヒーレンスの相関関係の安定性についての議論が必要と考えられた.そこで,実施計画にはない神経回路シミュレーションを新たに行い,理論的な論拠をより明確にした.これらより,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられた.
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画のとおり,平成29年度は実脳波データを用いた提案手法の検証を行う.神経回路シミュレーションの予備的な結果によれば,40Hz以上の高い周波数成分の脳波について特に良好な推定が得られることが示されている.研究実施計画では新たに頭皮脳波計測を行う予定であるが,その一方で、頭皮脳波計測データではこれらの高周波数成分は微弱なため,手法の検証には不十分である懸念もある.そこで,頭皮脳波計測実験に併せて,実験研究者との共同研究により,皮質脳波などを検証に用いることを検討する.
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