公募研究
意欲行動中に見られる線条体D2-MSNの活動振動がどのような神経入力によって作られるのか調べるために、腹外側線条体D2-MSNの入力先の一つの候補である島皮質の投射神経の活動を調べた。島皮質の投射神経特異的にCreを発現するRbp4-Creマウスを導入し、島皮質にAAV DIO yellow cameleonを注入した。島皮質の投射神経にyellow cameleonが発現した状態でオペラント行動実験を行い、細胞体および線条体投射軸索のカルシウム活動を記録した。細胞体での集合カルシウム観察では、オペラント行動の各イベント(トライアル開始、レバー押し開始、報酬獲得)で変化を見いだせなかった。一方で線条体へ投射する軸索の集合カルシウム観察では、トライアル開始時、レバー押し開始時に終末のカルシウム信号が低下し、報酬獲得時に戻ることがわかった。線条体D2-MSNはトライアル開始、レバー押し開始で集合カルシウムが増加することから、島皮質の活動抑制が線条体D2-MSNの興奮をもたらしていることがわかった。島皮質の活動と線条体の活動の関係性を明らかにするために、島皮質にムシモールを入れて腹外側D2-MSNの集合カルシウム活動を測定した。このとき島皮質の抑制によってカルシウム振動が有意に増加することが明らかになった。このことから、意欲行動の開始時には島皮質から線条体へfeedforward inhibitionで信号が送られていることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
カルシウム振動を行動中に記録し、その活動をもとに光操作できている。カルシウム振動の生理的意義に迫れる研究が出来ているとみなせるため。
島皮質軸索の光操作、これによる意欲行動の変化を調べる。feedforward inhibitionの存在をより回路レベルで記載するために、in vivo電気生理と光操作を組み合わせた実験を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件) 備考 (2件)
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