公募研究
本年度は、複数の神経細胞活動と局所脳波を同時に記録するオフラインシステム法を確立した。そして、そこから記録されたデータから、パーキンソン病(PD)の脳神経回路網が示す発振現象や同期化の破綻を推定する手法の開発を推し進めた。6-OHDAを内側前脳束へ投与することでドーパミン作動性ニューロンを選択的に変性脱落させたPDモデルラットとマウスを作製し、PD症状判定のための行動解析システムを構築した。PD患者の運動関連部位からは、その主症状とともに、病的なほど過大な脳波、特にβ波の出現が確認されている。そこで、運動関連部位の神経活動を記録し始めた。片側PDモデルにおいて、健常側と比較して、異常な神経活動を検出することで、発振現象や同期化の破綻を検出し、PD症状改善に有効な脳情報の解読を試みた。脳深部にある基底核にアクセスするため、3Dプリンタなどを用いて、マイクロドライブ(電極留置装置)を独自に設計・開発した。今後は、神経活動解析システムをリアルタイム化するための改良を行う。病的なβ波などがPD症状に及ぼす影響を運動関連部位から検出し、その情報に基づいて運動関連部位へフィードバック信号として光や電気による神経刺激を施す。光刺激は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を介してChR2を導入することにより実現する予定である。本治療法を実現するには刺激パラメータの調整が必須である。そこで、様々な刺激パラメータの組み合わせをPDモデル齧歯類に与え、その脳状態と行動指標を参照しながら試行錯誤することにより、最適な刺激パターンで、最適な部位に、最小回数だけ処置する手法を網羅的に模索する。そして、その最適な刺激パラメータを基にして、PD症状を効率的に改善する手法を完成させる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件)
Journal of Neuroscience
巻: 36(21) ページ: 5736-5747
10.1523/JNEUROSCI.0230-16.2016