本研究で目標としていた「運動中の脳から軸索ブトンの神経活動を30ヘルツから100ヘルツで記録すること」については記録のパラメーターを調整することにより運動中 30 ヘルツ、麻酔下で 100 ヘルツの記録を実現し、運動視床から大脳皮質一次運動野へ投射する軸索の振動現象を解析中である。軸索イメージングにおいてはz揺れを補正することが重要となることが分かってきたため、神経活動をz揺れを補正する技術の開発を続けることで、これらを実現してきた。 もう一つの目標であった「2 つの異なる領野からの軸索を一次運動野で観察、振動現象を解析する」については、2つの赤色たんぱく質を使い分けて、二種類の軸索を見分けた上で、2種類の軸索の揺れ補正と軸索同時活動測定を実現した。現在、実験効率を上げるために新しいタイプのウイルスベクターを導入するなどの工夫を重ねている。 軸索の発振現象の意味を知るうえで動物の行動と関連付けることは非常に重要である。コンピュータービジョン技術の導入を行い、動物の行動を自動的に画像から解析することを可能とした。この方法の一つの系として動物前肢の動きを読み解くことを可能とした。これにより、レバー引き運動に限らず、幅広い動物行動と軸索発振現象の関係を読み解くことが可能となる。 さらに、取得されたイメージングデータと行動を関連付けるという点に関して、レバー引き課題中の軸索イメージングデータと、行動パラメーターの関係性を知るために一種の統計モデルを導入し、ある種の神経活動が確かに動物の行動と関係していることを明らかにした。
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