公募研究
本研究では、デフォルトモードネットワーク(DMN)がどういった行動や脳機能を担うのか、DMNが他の神経機構とどのように関連しているか、の2つのアプローチで調べることでDMNの成因や機構を明らかにすることを目的とする。今年度は、基盤技術として重要な安静時脳活動・DMNの測定法の確立を進めた。再現性高い安静時脳活動・DMN測定のために独自にマルチアレイコイルの開発を行った。これにより高いSN比と時間分解能の安静時機能MRI画像を取得することが可能となった。安静時脳活動測定用に開発した麻酔法により安定した麻酔かけたマカクサル10頭において機能的MRI撮像(時間分解能0.75秒、50分×2回)を行った。また高精度・高効率な解析のために大脳皮質と皮質下構造物の標準座標(灰白質座標)への変換、構造的雑音判定と除去システムの構築を進め、これにより雑音の非常に少ない灰白質座標における時空間情報が取得できた。また大容量の安静時脳活動データを解析するために、並列計算による特異値分解・主成分分析を行い、その結果について独立成分分析を行う解析パイプラインを構築した。これにより従来法では計算時間・数週間、メモリー(RAM)を1TB以上を要する計算がそれぞれ1日、128G以下に短縮化できた。10頭の群として脳機能ネットワークを低次元(n=5)から高次元(n=)まで抽出・分解することに成功した。今後これら脳機能ネットワークの皮質分布に基づいたマルチモーダル皮質表面位置合わせ技術の融合を行い、さらなる高精度な皮質機能マップの解明を進める予定である。また新学術領域の他の研究班との融合的研究を積極的に推進した。
2: おおむね順調に進展している
高性能な画像を得られるコイルが予定通り構築されたことにより、解析技術の開発も順調に進んだ。
今後DMNの測定法の技術をさらに精度を向上し再現性高く機能ネットワークを抽出する技術を確立する。さらに他の神経機能(たとえばドパミン機能等)とDMNの関係性、覚醒レベルとDMの関係性について調査を進める。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Neuroscience bulletin
巻: 32(3) ページ: 273-85
1007/s12264-016-0030-0