公募研究
宇宙長期滞在および寝たきり状態において筋肉の萎縮は極めて重要な問題であるが、そのメカニズムは未だ多くが謎に包まれている。加えて、骨格筋が重力を感知するメカニズムに関しては、全く明らかとなっていない。そこで、本研究では、感覚神経系に着目し、感覚神経系による骨格筋の恒常性維持機構の解明および、重力感知メカニズムの解明を目指す。骨格筋における感覚神経の機能を解明するために、まず感覚神経系の活性を調整する方法の検討をおこなった。カプサイシンの投与により、感覚神経系は傷害され一方MgCl2の投与により感覚神経が活性化されることを明らかとした。骨格筋における感覚神経の3次元的な組織配列を理解するために、透明化技術の改良を行い、レポーターマウスを用いて各筋肉における感覚神経の可視化に成功した。骨格筋サテライト細胞は、筋再生において重要な細胞群であるが、微小重力環境では、サテライト細胞が存在するにも関わらず筋肉の萎縮が進行する。そこで尾懸垂モデルにおいて、骨格筋のPax7発現を検討すると有意な低下が認められた。同時に、骨格筋における感覚神経系のマーカー発現を検討した結果、尾懸垂により有意に発現が低下していた。加えて尾懸垂モデル対し、CTXを投与すると、筋再生の著しい遅延が認められた。このことは、骨格筋サテライト細胞は、感覚神経系による制御を受け、筋再生を調節している可能性が考えられる。現在詳細なメカニズムの検討中である。
2: おおむね順調に進展している
動物の作出、in vivo, in vitroでの解析など当初の計画通りに進行している。
平成28年度の研究を継続して実施するとともに、新たに以下の項目に関して検討を実施する。1.感覚神経活性が骨格筋再生におよぼす影響2.透明化技術を用いた神経ー血管系の3次元的組織構造解析3.メカニカルストレスの変化が筋サテライト細胞活性におよぼす影響4.骨格筋感覚神経によるメカニカルストレス受容機構の解明
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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