研究領域 | 宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
16H01646
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
北宅 善昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60169886)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 宇宙閉鎖生態系 / 持続可能システム / サツマイモ |
研究実績の概要 |
植物栽培装置のプロトタイプを試作し、航空機に搭載して放物線飛行により生じる低重力において、モニタリング・制御の問題点を調べるとともに、低重力場での植物(サツマイモ)体内での根から葉、さらには大気に向かう蒸散流について検討した。 1.微小重量下での試作植物栽培実験装置における環境制御・植物情報モニタリングシステムの動作確認を行った結果、以下の各項目とも微小重力下での問題は見られなかった。(1)植物育成用チャンバー内の気温制御、(2)葉での光合成、蒸散機能の指標となる気孔開度指数(北宅ら、2015)のモニタリング、(3)植物育成チャンバー内外のCO2・H2O濃度差計測による植物ガス交換のモニタリング 2.茎内蒸散流に及ぼす低重力の影響 サツマイモ茎内の水の移動に及ぼす低重力の影響を調べるため、微小ヒータで加熱された茎の表面を熱画像カメラを用いて連続撮影した。茎内を通る水の動きについては、茎表面温度分布画像を用いて、微小ヒータで加熱された部位周辺の水の流れに伴う熱伝達の状況から検討した。植物の茎内や培地内の水の流れによって、微小ヒータにより加えられた熱の伝達が促進され、加熱部近傍の温度分布が変形する。系内の水の流れが促進される場合には、水の流れに伴う熱の伝達が促進される。放物線飛行中において茎の表面温度をモニターすることにより、茎の道管を通る水の流れで熱が移動する状況から、水の流れを定性的に解析した。その結果、撹拌ファンによる強制気流(植物近傍の気流速度0.5 m s-1)がある場合、微小重力下(0.01 g)と地上重力(1.0 g)下での茎における温度差の分布は仮説同様の変化を示し、微小重力下では茎内蒸散流が促進された。また茎内蒸散流の促は、重力の低下に伴い顕著になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙の閉鎖空間で、食料となる植物を生産し、さらに空気や水の浄化、物質リサイクルを可能とする栽培実験装置を開発することを目的とする。この装置は精密な環境制御の下で植物を健全に育成でき、制御環境要素の逐次モニタリング、発芽から栄養・生殖成長を含む植物生育全段階における形態形成、ガス交換、水収支などの情報を個体あるいは組織レベルで自動モニタリングできる。H28年度は、試作植物栽培実験装置は、宇宙の低重力下でも動作することを確認し、さらに宇宙の低重力下における植物栽培では、根での吸水、根から葉に向かう水移動を促進して健全な植物を育成するためには、強制気流が重要であることを確認し、当初の予定通り、進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
試作植物栽培実験装置は、宇宙の低重力下でも動作することが期待できるが、今後さらにモニタリング・制御の高精度化、自動化を図るとともに、微小重力以外に、ISS内で報告されている数千ppmの高CO2濃度などの特殊な環境条件でも、栽培チャンバー内の最適環境を長期的に制御できる仕様にする。
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