公募研究
1.特定の細胞・組織・器官を蛍光蛋白質の発現により可視化することができるトランスジェニックゼブラフィッシュ系統の開発を行った。(1)トランスポゾン転移システムを用いた遺伝学的方法論により、特定の脳領域でGal4を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ系統を新規に20系統作製した。(2)計画研究瀬原班と共同で、宇宙滞在によって浮き袋において発現量が変動する遺伝子の発現を可視化するトランスジェニックフィッシュの作製に成功した。2.特定の神経細胞の遺伝子発現プロファイリングを行った。(1)終脳においてGFPを発現するトランスジェニックフィッシュからFACSによりGFP発現細胞を選別し、RNA-seqにより遺伝子発現プロファイリングを行い、神経細胞特異的発現遺伝子を同定することに成功した。(2)瀬原班と共同で、宇宙滞在ゼブラフィッシュの脳のRNA-seqによる遺伝子プロファイリング解析に着手した。3.行動解析アッセイシステムの開発を行った。ゼブラフィッシュの不安行動を解析するための「新規タンク行動解析システム」、情動・恐怖に関連した学習を解析するための「恐怖条件付け学習解析システム」、空間的な記憶、学習行動を解析するための「空間学習解析システム」の開発に成功した。4.脳で発現する遺伝子のCRISPR/Cas9法による遺伝子機能解析を行った。ゼブラフィッシュ終脳特異的に発現する転写因子emx3遺伝子をCRISPR/Cas9法により破壊し、ホモ2倍体が行動に異常を示すことを明らかにした。5.宇宙滞在により影響を受ける可能性がある視床下部領域の解析を行った。視床下部は自律機能の調節、ストレス応答等を司る重要な脳領域である。トランスジェニックフィッシュを用いた機能イメージング解析により、視床下部の摂食中枢、及びストレス刺激に応答する部位を明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
1.当初予定していた脳特異的Gal4発現トランスジェニックゼブラフィッシュ系統の作製に加えて、浮き袋特異的Gal4発現トランスジェニックフィッシュの作製に成功したから。2.特定の神経細胞においてGFPを発現するトランスジェニックフィッシュからFACSによりGFP発現細胞を選別し、RNA-seqにより遺伝子発現プロファイリングを行い、神経細胞特異的発現遺伝子を同定することに成功したから。3.ゼブラフィッシュの行動解析アッセイシステムの開発が順調に進んでいるから。4.脳で発現する遺伝子のCRISPR/Cas9法による遺伝子機能解析に成功したから。5.視床下部の機能イメージング解析により、視覚刺激から視床下部の摂食中枢にいたる神経回路を明らかにし、論文を出版することができたから。
(1)宇宙滞在によって発現が変動する脳神経細胞関連遺伝子、浮き袋関連遺伝子の破壊実験およびトランスジェニックフィッシュ作製による過剰発現実験を行い、それら遺伝子の機能と表現型を関連づける研究を推進する。(2)ゼブラフィッシュ脳領域特異的遺伝子発現プロファイリングを推進し、宇宙滞在による遺伝子発現変動と遺伝子機能を関連づけるための基盤を構築する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件)
Nature Communications
巻: 8 ページ: 15029
doi: 10.1038/ncomms15029
Current Biology
巻: 17 ページ: 2319-2328
dos:10.1016/j.cub.2016.06.037