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2016 年度 実績報告書

ヒトの触質感はなぜ多彩なのか?~非線形触質感喚起モデル~

公募研究

研究領域多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出
研究課題/領域番号 16H01661
研究機関山形大学

研究代表者

野々村 美宗  山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (50451662)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード触覚 / 摩擦 / ソフトマテリアル
研究実績の概要

われわれは、皮膚の表面で起こる摩擦現象の非線形性が多彩で繊細な触質感発現の一つの原因なのではないかと考えている。特に、ヒトがモノに触れる時は加速度がともなうため、アブノーマルな摩擦現象が起き、莫大な数の時空間パターンが発現する可能性がある。本年度は、正弦運動下におけるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)表面間の摩擦を評価し、非線形運動が摩擦に及ぼす影響を明らかにした。
(1)正弦運動下における摩擦測定 正弦運動下における摩擦評価は、偏心した円盤を回転させてヨークを往復運動させる機構で実現した。摩擦開始後、摩擦係数は速度の増加とともに増加し、その後、再び低下した。PTFEの摩擦過程では、PTFEの摩擦運動と摩擦力の応答の間に時間差δが観察された。この加速に伴う摩擦係数の増加と時間差は、本研究で検討した高分子材料だけでなく、皮膚や毛髪のようなソフトマテリアル表面でも観察される。すなわち、ソフトマテリアルは粘弾性的な力学応答を示すため、摩擦係数の速度依存性や応答の遅れが現れたものと考えられる。
(2)粘弾性モデルに基づいた摩擦モデルの構築 非線形摩擦ダイナミクスにおける理論的枠組みを提供するために粘弾性体表面における摩擦のモデルを構築した。本研究では、物質の剛性ksと粘性率ηのダッシュポットを組み合わせ、粘弾性的な応答を再現し、摩擦過程を往復運動する接触子が滑り出してから静摩擦に達するまでのすべり前摩擦過程と、その後の動摩擦過程の二つ状態についてモデル化を行った。さらに、これらの摩擦モデルに基づいて実験データを解析し、粘弾性的な特性を組み込むことでソフトマテリアルの摩擦現象を俯瞰的に説明できることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非線形運動下における摩擦現象を評価するシステムとこれを解析するための物理モデルを構築することができた。これらの成果は触覚の発現メカニズムを解析するうえで有用である。

今後の研究の推進方策

「しっとり感」「なめらか感」などの触覚に関する官能評価と摩擦現象の関係を解析し、非線形触質感喚起モデルを検証する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nonlinear friction dynamics on polymer surface under accelerated movement2017

    • 著者名/発表者名
      Yuuki Aita, Natsumi Asanuma, Akira Takahashi, Hiroyuki Mayama, Yoshimune Nonomura
    • 雑誌名

      AIP Advances

      巻: 7 ページ: 045005

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1063/1.4979883

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Evaluation of 3D printer accuracy in producing fractal structure2017

    • 著者名/発表者名
      Kana Kikegawa, Kyuuichirou Takamatsu, Masaru Kawakami, Hidemitsu Furukawa, Hiroyuki Mayama, Yoshimune Nonomura
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 66 ページ: 383-389

    • DOI

      http://doi.org/10.5650/jos.ess16151

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 1 次相転移としての界面接触現象:濡れ・接着・摩擦の再考察2017

    • 著者名/発表者名
      眞山博幸, 會田悠城, 野々村美宗
    • 学会等名
      日本化学会 第97春季年会 (2017)
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [学会発表] 撥水処理を施した化粧用パウダーの摩擦特性と触感2017

    • 著者名/発表者名
      亀卦川奏, 山口梓, 土屋玲一郎, 土井萌子, 長谷昇, 野々村美宗
    • 学会等名
      日本化学会 第97春季年会 (2017)
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [学会発表] 正弦運動下における摩擦現象の非線形ダイナミクス2016

    • 著者名/発表者名
      會田悠城, 浅沼夏海, 眞山博幸, 野々村美宗
    • 学会等名
      第67回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      北海道教育大学旭川校
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-24
  • [学会発表] 正弦運動下における化粧用スポンジの摩擦評価2016

    • 著者名/発表者名
      浅沼夏海, 會田悠城, 野々村美宗
    • 学会等名
      第67回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      北海道教育大学旭川校
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-24
  • [備考] 山形大学工学部バイオ化学工学科野々村美宗研究室

    • URL

      http://nonomura.yz.yamagata-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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