研究領域 | 多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出 |
研究課題/領域番号 |
16H01676
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00396904)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / コンピュータグラフィックス |
研究実績の概要 |
本研究では,蛍光物体の質感編集技術を確立することを目指す.蛍光物体の光学的特性が入射光と反射光の方向だけでなく波長にも依存することから,多波長・多方向光源システム(マルチ/ハイパースペクトルライトステージ)を用いた蛍光物体の解析および画像生成を行う.具体的には,被写体を様々な波長で様々な方向から照明して撮影した画像を用いたイメージベーストモデリング(IBM)とイメージベーストレンダリング(IBR)に取り組む. 前者のIBMに関しては,多波長・多方向光源下の蛍光物体の画像から,物体表面の分光特性(分光反射率,蛍光励起スペクトル,および,蛍光放射の色度)と法線を同時に推定する手法を開発した.特に,物体表面で観察される陰の影響を考慮して,分光特性と法線を推定するのに必要な画像の枚数を明らかにするとともに,それらを少数の画像から頑健に推定するのに最適な光源色・光源方向の組合せを求める手法を提案した.合成画像を用いた実験を行い,提案手法の性能やノイズに対する頑健性を確認した.これにより,分光分布も空間分布も任意の光源環境における蛍光物体の画像生成が可能になる. 後者のIBRに関しては,多波長・多方向光源下の画像を,鏡面反射成分の画像,および,拡散反射成分と蛍光成分の和の画像に分離する手法を開発した.これにより,鏡面反射成分の強さや拡がり,つまり,光沢感の編集が可能になる.拡散反射成分と蛍光成分の分離については,多波長・多方向光源システムでも用いているLEDなどの狭帯域光源を仮定した手法の開発に取り組んだ. 上記に加えて,静的シーンや動的シーンにおける分光的な直接・大域成分の分離,単一画像に基づく材質識別のための照明の最適化,および,単波長光線を用いた半透明物体の散乱特性の推定などの蛍光物体の質感編集に関連する技術の開発にも取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画で述べたIBMに基づく幾何学的・光学的特性の推定や蛍光感の編集,および,IBRのための多波長・多方向光源下画像の反射・蛍光成分の分離に取り組み,概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,IBRに基づく写実的画像の生成や蛍光感の編集,および,データベースの構築に取り組むとともに,前年度に開発した技術をブラッシュアップする.
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