研究領域 | 多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出 |
研究課題/領域番号 |
16H01682
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
和田 有史 立命館大学, 理工学部, 教授 (30366546)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 潜在的態度 / 顕在的態度 / 食認知 / プライミング |
研究実績の概要 |
我が国の多くの消費者は昆虫食の習慣がなく、昆虫をみるだけでも嫌悪感を抱く者が多い。その一方で、伝統的に昆虫食を行う地域も存在する。このような文化の違いがある場合、同じ視覚刺激に対して両極的な感性的質感が生じると考えられる。本研究では食用昆虫画像を刺激として、広範囲に居住する人々の潜在的な態度の測定を試みた。 クラウドソーシングにより実験参加者1479名が実験に参加した。県別の被験者割合は人口統計との相関係数は0.98であり、非常に高かった。年齢分布は30代、40代の参加者が多い傾向にあった。昆虫食経験者の割合は内陸部で高いことが示された。また、摂食経験者の割合は10代では15%程度であるが年齢が上がるにつれ増大し、40代以上では30%を越える。摂食した昆虫はイナゴが28.4%、ハチの子10.8%、蚕の蛹4.0%、セミ1.6%であった。これらの参加者に対してプライミング課題を行った。プライムは動物画像、一般の食品画像、昆虫食品の画像であり、ターゲット語は動物名か食品名であった。参加者はターゲット語が食品名であるか動物名であるかをボタン押しで答えた。反応時間100ms未満、2500ms以上を無効とし、無効データが10%を越える参加者を分析から除外した (有効回答: n=1212)。正答率については、動物プライム(食品プライム)の場合、動物名(食品名)の正答率が高い一方で、昆虫についてはターゲット間に正答率の差はなかった。これは昆虫食品画像が食品として認識されにくいことを潜在的態度から示唆するものである。反応時間の測定では、従来のプライミングとは逆の効果が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クラウドソーシングによる全国規模の昆虫食体験についての調査を行い、同時にプライミング課題も実施したが、実際に昆虫食経験者の比率が高いと思われる地域の参加者のデータ数が少なかったため、つい実験を行う必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は学生を対象とした昆虫食の実食による印象の変化を測定するとともに、より大規模なクラウドソーシング実験を行う予定である。
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