研究実績の概要 |
本研究は、グローバル化に関する諸問題を地域横断的に多様なディシプリンを用いて行うのみならず、境界を越え、世界規模で起きる現象の追跡と分析に目配りしつつも、重層的なグローバル化のもとで、絶えず消失し、再生される空間及び人と人の相関における領域化や境界付けを総合的に把握しようとするものである。本研究では、一見グローバル化とはネガの関係に見えるボーダー(境界)の問題群がグローバル化とコインの表裏の関係であることを前提に、旧来の研究視座では読み解くことのできない問題群と本質を逆照射し、かつ実践的な解析や対応策を見出そうと努めようとする。1)アジア・ユーラシアの境界事象(再領域化・囲い込み)とグローバル化した世界の相関を分析し、2)グローバル化するborderization とtrans-borderizationの相関を地域間比較によって試み、3)グローバル化と境界問題の理論的総合を目指す、という課題設定がそれである。 最終年度にあたる平成30年度は上記の設定にかんがみ、本新学術領域研究で展開されている諸研究を鳥瞰し、当該研究成果の発信に努めた。Association for borderlands Studiesの第2回世界大会(ウィーン、ブタペスト)、世界政治学会(IPSA)(ブリスベン)などで政界の報告を行い、また福岡で開催された世界社会科学フォーラム(WSSF)で複数のパネルを組織した。成果の共有のために、モスクワ、ヘルシンキ、バーミンガム、ワシントンDC,シアトル、サンディエゴで関係する研究者と学術交流を行った。
|