研究領域 | パレオアジア文化史学ーアジア新人文化形成プロセスの総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
17H05126
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 修 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (40244347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人類進化 / ネアンデルタール / 西アジア |
研究実績の概要 |
西アジア-レバント地域は、新人ホモ・サピエンスと旧人ネアンデルタールが、時代により・地域により、その分布域を拡大・縮小するさまが、石器形式や人類化石より検証可能な「人類進化の回廊」である。この地域では、「ホモ・サピエンスの拡散・定着プロセス」について、化石人類の形質(ネアンデルタールorホモ・サピエンス)と石器文化、それらの年代と古環境との関連より詳述できる可能性が高い。本研究では、シリア・デデリエ洞窟出土人骨と、イスラエル・アムッド洞窟人骨をターゲット標本とし、形態学的比較研究を行う。これをもとに、アフリカからユーラシアへかけての旧石器遺跡データベースより得られる、古環境・考古属性などの情報をリンクさせ、当該地域における人類史変遷の解明に寄与する。 平成29年度は、デデリエ洞窟出土の1号・2号幼児骨の埋葬について、「意図的埋葬」と考えられる証拠を記述し、「意図的埋葬」ではないとする既報告への反証をおこなった。また、ネアンデルタール人骨の埋葬例に関する最近の研究をレビューし、3号人骨の出土状態の記載アプローチの検討をおこなった。第3号幼児骨格については、カットマーク等の骨格表面監察に加え、骨表面付着マトリックスの組成データと周辺土壌の組成データについて分析し、3号人骨埋葬の記載について検討した。さらには、埋葬周辺の出土遺物(骨、石器)を含めた、遺物分布やその形状・方向性の解析によって、埋葬状況を記載する新しいデーターとなりうることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度の計画では、デデリエ洞窟出土人骨の未記載標本についての記載を進める予定であったが、3号幼児人骨の出土状態の記載方法についての検討に時間がかかり、3号人骨以外には着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
化石人骨の研究は、1点1点それぞれに時間がかかるため、30年度は、3号幼児人骨の形態記載と形態比較、3号人骨の埋葬状態の記載に焦点をしぼり、論文化を見据えて研究を進めることにする。
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