研究領域 | パレオアジア文化史学ーアジア新人文化形成プロセスの総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
17H05129
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上峯 篤史 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (70609536)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 旧石器考古学 / 石英製石器 / 動物骨 / 新人の拡散 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国・韓国における後期更新世の人類文化の変遷、道具製作・使用行動の解明するため、現地調査ならびに現地の出土資料所蔵機関を訪問しての資料熟覧を実施するものである。研究初年度である本年度は、①石英製石器の観察方法の整備、②中国・韓国の関連資料の情報精査、③中国河北省における資料熟覧、を実施した。 ①について、石英製石器の詳細観察や、先行研究の精査、原石の打ち割り実験を通じて、石英製石器における打ち割り痕跡を認識する基準を整備した。これを本研究に参画するメンバーで協力して、②における石英製石器の観察に備えた。 ②について、中国オルドス市博物館、古脊椎動物古人類研究所(IVPP)、河北省文物研究所を訪問し、中国北部の関連資料の概況と、これをめぐる諸研究の状況を把握した。研究の現状を総括した国際集会を開催し、日中両国で情報共有を図った。また関連する遺跡の文献情報を収集し、それらの年代観を整理した上で、来年度以降の研究対象を模索した。 ③について、中国河北省文物研究所を訪問し、石家荘市水簾洞遺跡の石器群を熟覧した。石英製石器の詳細観察とその所見を反映した実測図の作成、属性観察・計測、写真撮影、自然科学的方法による成分分析、動物骨の詳細観察を実施した。石英製石器からは、水簾洞遺跡の石器群が中国の現代人的行動を示す最初期の事例の一つであることが判明した。また中国の黒曜岩製資料について、化学組成を把握し得た点も重要な成果である。動物骨・貝資料については自然科学分析のサンプルを採取したため、現在、年代測定ならびに酸素同位体比の測定を実施しているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初予定していたとおりの研究項目を推定でき、その中間成果についても発表し得た。研究の遂行は順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
中国河北省文物研究所にて水簾洞遺跡ならびに泥河湾遺跡群の出土資料について、資料の熟覧や計測などを実施予定である。また水簾洞の黒曜岩製資料に関して、東アジア各地の黒曜岩の分析値を収集予定である。また中国の他の機関の所蔵資料についても、熟覧等をともなう研究が実施できるように打診しているところである。
|