研究領域 | パレオアジア文化史学ーアジア新人文化形成プロセスの総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
17H05132
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | sex-biased migration / 少数民族 / 古人骨 / mtDNA / Y染色体 / ゲノム網羅的SNP解析 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】出アフリカ以降、現生人類は5~7 万年という短かい期間で、世界各地の様々な環境に適応しながら拡散したので、その環境適応は生業形態や文化・行動様式の変化がゲノムの変化より先行した。代表者・太田博樹らはタイ北部山岳少数民族の遺伝的多様性に文化様式(婚姻システム)が遺伝子頻度に影響を与えることを報告した(Oota et al. 2001)。以来、こうした婚姻システムが遺伝的多様性に与える影響はsex-biased migration と呼ばれている。旧人(ネアンデルタール人やデニソヴァ人)の骨試料をもちいたゲノム解析は、新人の出アフリカの直後、旧人と新人の間で混血が起こっていた痕跡が、非アフリカ現代人のゲノムから数%見つかることを報告している 。東アジア人ではヨーロッパ人よりもネアンデルタール人からの高い遺伝子流入があったとされているが 、最近グラハム・クープらは、ネアンデルタール人のゲノム情報を再解析し、X 染色体の遺伝子流入レベルは少な かったことを報告した 。これは非アフリカ現代人のゲノム中に見つかるネアンデルタール人由来のゲノムは、女性由来よりも男性由来であることがより多いことを暗示するが、それをクープらはsex-biased migration ではなく自然淘汰の影響として説明している。もしこの仮説が正しければ、これも旧人と新人の間に存在した生業あるいは文化・行動様式の違いがゲノム構造に影響した事例 になるかも知れない。今回の研究計画ではタイ北部山岳少数民族のゲノム網羅的SNP解析を実施することにより、生業形態および文化・行動様式が常染色体を含めたゲノムに与える影響を明らかにする。 【研究計画の実施状況】タイ少数民族のDNA試料を揃えDNA濃度などの確認を行った。また、アゼルバイジャンから出土したホモ・サピエンスの骨試料からのDNA抽出に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度までにSNPタイピングを完了する予定であったが、使用する予定であったSNPアレイのバージョンアップなどのタイミングとの関係で、やや進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度前半にSNPタイピングを終える。それに続きデータ解析を進める。
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