昨年度から取り組んでいるカルバゾールデンドリマーとベンゾフェノンを連結した緑色の熱活性化遅延蛍光(TADF)を示すデンドリマーについては有機層全塗布型有機EL素子へと展開した。TADF材料を用いた同種の有機EL素子へと素子としては最高の17.0%の外部量子効率を示した。カルバゾールとトリアジンを組み合わせたTADFデンドリマーについては第3世代及び第4世代のカルバゾールデンドロンをホストとして有機層全塗布型TADF有機EL素子を作製すると外部量子効率16.1%を示すことが明らかとなった。 A01 班武田グループとA02班の山本グループと行っているジベンゾフェナジンとカルバゾールデンドリマーを組み合わせた分子の自己集合と雰囲気による発光色変化については、国際共同研究も交えてメカニズムの解明につながる成果が得られた。 A01班辻グループとは炭素架橋オリゴフェニレンビニレン(COPV)とカルバゾールデンドリマーを組み合わせた分子の合成に成功した。A02班山本グループとA03班竹延グループへ試料提供を行い光学材料として展開出来ることを見出した。 カルバゾール線状オリゴマーについては3量体の両端にチオフェノール基を連結した分子の単一分子電気伝導度測定をMCBJ法(Mechanically Controllable Break Junction)によって測定した所、狙い通りにダイオード特性を示すことが明らかとなった。ダイオード特性の発現メカニズムについては当初の予想とは異なるものの伝導軌道の分子内での分布が電界印加によって変化することが起源であることを明らかとした。
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