公募研究
大質量星の進化の最後に起こると考えられている重力崩壊型超新星は、莫大なエネルギーの放出や重元素の生成などを通して、宇宙の構造や化学組成進化に極めて重要な役割を果たすとともに、ニュートリノ、重力波、高エネルギー宇宙線などを用いた新しい天文学の観測対象となっている。その中でも、厚い外層に覆われて電磁波では観測できない中心部の情報を含んでいるニュートリノは超新星の爆発機構を解明する鍵を担っており、その観測によって超新星の理解が飛躍的に進むと考えられる。本研究は、観測が期待される銀河系内超新星起源のニュートリノから得られる科学的知見を最大化することを目指し、超新星ニュートリノとその親星構造との対応関係を明らかにすることを目標としている。前年度に、超新星までの距離に依らず超新星ニュートリノから超新星親星の構造を判別する新しい指標を提案し、20個の超新星親星モデルに対して従来の計算に比べてニュートリノ反応と輸送を精緻化した数値シミュレーションを実行してこの手法を適用した。また、ブラックホールを形成する場合のニュートリノデータを別途用意して、通常の超新星爆発を起こす場合との比率を複数通り仮定し、それぞれで背景ニュートリノのスペクトルを算出した。しかしこれらの計算はいずれも空間に対称性を仮定して1次元または2次元で実行していた。そこで今年度は最新のニュートリノ反応率を使用した空間3次元の超新星シミュレーションを実行し、超新星ニュートリノモデルの拡張を図った。3次元計算では計算コストが著しく増大するため、粗視平均化と名付けた方法を組み込んだ数値計算コードを作成し、2種類の親星を使用して計算をおこなった。得られた初期ニュートリノデータは2次元計算とほぼ同じであったが、爆発に転じるタイミングや爆発エネルギーおよび関連する重元素合成量に大きな違いが見られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of NuPhys2017
巻: C17-12-20 ページ: 169~173
The Astrophysical Journal
巻: 863 ページ: 127~127
10.3847/1538-4357/aad2d8