今後の研究の推進方策 |
RE3Tr4X13 (RE: 希土類元素、Tr: 遷移金属元素、Sn: Sn, Ge)は超伝導から半導体まで様々な電子状態を示し、この10年の間にヨーロッパやアメリカなど各国の物性物理研究グループで数多くの物質が合成され物性の詳細が明らかにされてきた。本研究グループでは、La3Tr4Sn13 (Tr: Co, Rh)が示す結晶構造相転移はカイラル対称構造の形成であることを見出し、過去に報告されていた超伝導は反転対称性のない特異な状態であることを見出した。このLa3Tr4Sn13 (Tr: Co, Rh)にFe, Ruを導入することで期待される構造相転移の低温への抑制の結果、電子状態はいわゆる量子臨界点近傍に至り、超伝導特性が変化する可能性に着想した。特に置換元素周囲での局所構造と超伝導状態の相関を見出すことが今後の課題である。また同型物質Ce3Tr4Sn13 (Tr: Co, Rh)では同じカイラル対称の構造相で半金属物性が見られ、La系とは異なる電子状態にある。海外研究グループを含む共同研究に基づいて、Ce3Ir4Sn13やYb3Ir4Ge13といった類縁化合物の半金属/半導体物性の起源を探るX線・中性子散乱実験を推進する。
|