活性化サイト一つ、ドーパントは、半導体中に正負の符号のキャリア源を発生する為に、デバイス技術として使われてきた。ドーパントの局所構造は半導体結晶の原子置換位置であり、半導体結晶の結合電子数より電子が過剰になるか不足するかで、発生できるキャリアの符号が決まる。ドーパントの一つ、MnドーパントはSi半導体及びIIIV族化合物半導体ではスピン源にもなり、RKKY相互作用を通して磁性を引き起こす報告がされスピントロニクス分野始まるきっかけになった。更に、Mn等の磁性不純物が2次元規則構造を形成すると、ハーフメタルになるとの理論的予測がされ、Digital Magnetic Alloyと呼ばれている。 昨年度、我々は、Mnドーパントが2次元性を持つ可能性を、Si(001) 4°オフ基板上のGe/Si界面構造と偏光XAFS法を利用することにより得た。Si(001) 4°オフ基板を用いることで、Mnの1次元構造を同じ方向に揃えることができる。又、Ge/SiとSi/Si界面を比較することによりMnドープ層より上と下の構造を区別できる。XAFSの偏光方向をMnの一次元構造に対して、面内水平、面内垂直、面法線方向の3方向をとることにより、結合方向の空間内の方向を特定できる。面内で異方性が強く、2つにモデルが提唱した。更にGe/Si界面にMnをドーピングした試料の電気的特性を評価し、70-120Kで異常ホール効果を示したを示した。 今年度は、シリコン基板上Mnドーパントとβ型酸化ガリウム中Snドーパントの構造モデルを決定する為に蛍光X線ホログラフィ計測を行った。後者は解析の結果、二つあるGa原子の置換位置のうちGa2の方がメジャーな置換位置になっている事が分かった。現在、サポートデータを構築しながら論文執筆中である。
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