研究実績の概要 |
前年度の検討結果を踏まえて,アルツハイマー病患者を含んだデータベースを用いて性能評価実験を行うとともに,実用化に向けた検討を行った. 1. 脳画像解析のための脳局所特徴および 2. 脳局所特徴を用いた解析手法:前年度に検討した脳局所特徴および解析手法の性能評価実験を行った.具体的には,大規模な健常者の脳MRI画像データベースに対して年齢推定を行い,検討した手法の基本性能を評価した.その結果,従来手法(K. Franke et al., NeuroImage, 2010.ほか)や前回の公募研究で検討した手法の推定誤差が4.0歳程度であったのに対して,検討した手法の誤差が3.6歳程度であった. 3. アルツハイマー病の診断支援への応用:前項1~2で検討した手法をアルツハイマー病の診断支援への応用を検討した.健常者が実年齢とほぼ等しく推定されるのに対して,MCIとADの患者が実際より高く推定されることを利用して,前項で検討した手法に基づく識別アルゴリズムを検討した.アルツハイマー病患者を含む大規模なデータベースを用いた実験を行った結果,健常者の平均年齢推定誤差が3.9歳程度であるのに対して,MCIが5.9歳程度,ADが6.0歳程度であった.健常者とアルツハイマー病患者とを完全に分けることはできていないが,大多数を判別することができるため,本結果をフィードバックして継続的に改善を検討するつもりである.また,脳局所特徴量から構築される脳ネットワークを用いてグラフ理論の観点から健常者とアルツハイマー病患者との差違についての考察も行った.
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