研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
17H05288
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋田 利明 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (30167837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心臓リモデリング / 心不全 / 心筋配向 / マイクロCT / シミュレーション |
研究実績の概要 |
1)正常心と不全心ビーグル犬摘出心をホルマリン固定後パラフィン包埋し、Micro CTによる心臓形状抽出と両心室の心筋配向を構造テンソル解析およびヘッセ行列解析法を用いて評価した。一部心筋コントラストが不良で心筋配向追跡が困難な例があり、過去の論文を参照しウサギ摘出心を用いヨウド剤によるコントラスト改善を検証した。さらにはエタノール固定法や屈折CT撮像(筑波高エネルギー加速器研究機構)による比較検証も行った。エタノール固定後のウサギ摘出心を用いた屈折CT撮像ではヨウ化ヨウドカリウムによる染色抜きでも十分な心筋コントラストが可能であった。 2)十分な心筋配向評価が可能であったビーグル犬の正常心2匹と不全心1匹の平均の心筋配向角度(第一ベクトル方向)はともに外層-60度、内層+60度だったが、不全心で分散が大きかった。心筋シートの角度(第2ベクトル方向)は正常心50.6度、46.2度だったのに対し不全心では57.4度とより立った角度になった。 3)Micro CTでの良好な心筋配向評価が可能だったウサギ摘出心を用いて心尖から心房までの連続切片を作成し、電動ズーム顕微鏡(AxioZoom, Zeiss)を用いて100μmごとの光学的連続切片として撮影した。今後得られた画像はZEN Zeissを用いて3次元画像として構築し、心筋配向と心筋細胞配列の乱れを評価する。 4)MicroCTによる心筋配向角度の情報をUT-Heart研究所に提供した。シミュレーションへの組み込みを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロCTよる心筋配向評価が困難な標本があり、組織固定法の変更、ヨード染色の導入、屈折CTによる撮像等を行った。これらによりマイクロCTでも安定して心筋配向が評価できるような標本固定法が確立された。組織標本による評価はビーグル犬からウサギ摘出心に切り替え、組織標本の作成は行ったので、予定しているマイクロCTと組織標本での心筋配向の照合は行う準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
1)今後不全心の組織標本も作製し、組織学的な解析手法でも心筋配向角度を解析し、同じウサギ摘出心を用いたMicorCT解析結果と照合し、構造テンソル解析およびヘッセ行列を用いたMicroCT解析手法の妥当性を検証する。 2)犬の正常心と不全心の心筋配向の変化と心機能の相関を解析し、心臓リモデリング時における心筋配向変化と心機能悪化のメカニズムを考察する。 3)心不全における心筋配向の水平化と心筋細胞配列の乱れをUT-Heart simulator上に再現し、両心室収縮能と拡張能、局所閉運動と関係を明らかにし、心臓リモデリングによる心機能悪化のメカニズムを検証する。
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