研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
17H05299
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
諸岡 健一 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (80323806)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳図譜 / 多元脳図譜データベース / 脳外科手術支援システム |
研究実績の概要 |
申請者は,世界初の試みである,1体の日本人献体脳を用いて,脳表から組織・細胞構造までの形態解剖・生理情報を内蔵した精緻なデジタル脳図譜}を開発中である.当該研究は,この標準脳図譜を基盤に,1)性別・年齢(時間軸)や疾患(病理軸)などに特異的な多元脳図譜データベースと,2)これに基づき標準脳図譜を変形させ,脳内構造の個人差・疾患特異性に対応した患者固有脳図譜推定法を構築することで,次世代テイラーメイド脳外科手術支援システムの開発を目的とする. 平成29年度では,申請者が有するデジタル脳図譜と,非線形有限要素解析とほぼ同程度の推定精度で,且つ実時間で推定する技術 DeepFEMを基盤として,脳の内部組織ごとの挙動解析を統合し,脳図譜全体の変形を推定するシステムについて研究を行った.具体的には,脳図譜を構成する節点ごとに,その挙動を推定するDNN(Nodal behavior estimator: NBE)を構築し,全節点のNBEを統合することで内部構造や脳全体の変形を推定する. 脳内部構造の一つである,被殻の2次元メッシュモデル(大きさ:幅29[mm],高さ59[mm])の変形を推定する実験を行った.この実験では,非線形有限要素法で推定した変形データを真値とし,開発したシステムの推定精度を比較した.その結果,システムによる変位および応力の推定誤差は,3.2 ± 1.4 [mm×1E-2]および1.5 ± 1.2 [N/mm^2]であり,モデルのサイズと比較すると十分小さく,開発したシステムの精度を確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳の内部構造を変形するシステムを構築し,その精度を確認している.このシステムの規模を拡大することで,脳図譜全体の変形を効率的に推定するシステムは実現可能である.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度では,引き続き脳図譜変形推定システムの開発を行うと共に,推定した複数の脳図譜を用いたデジタル脳図譜データベースと,それに基づく患者固有脳図譜推定について研究を実施し,脳外科手術支援システムの構築を目指す.
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