研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
17H05302
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
昌子 浩登 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (00378936)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 形態形成 |
研究実績の概要 |
肝臓のミクロ構造の3次元配置について着目し、研究を行ってきた。特に、血管系である類洞と、毛細胆管が織りなす3次元共連結構造に着目し、以下の研究を行ってきた。1. 共焦点顕微鏡画像の張り合わせ巨大画像を取得して、肝小葉内の構造の3次元立体配置解析を行った。名古屋工業大学 本谷教授のグループとともに、蛍光免疫染色像の画像解析アルゴリズムを考え、巨大画像である3色の立体蛍光像から、肝細胞、類洞、毛細胆管を抽出し立体構築を行えるようにした。そうして構築した構造について、上皮細胞である肝細胞の極性について解析を行った。現在、とりまとめて、国際誌への投稿準備を進めている。2. 脂肪肝の診断を下す際、肝生検が行われる。その際、患部に差し込み、検体を取り出す注射針のサイズについて考察した。脂肪肝モデルラットを作成し、その肝臓を摘出。連続切片を作成し、切片の線維化が進んでいる部位を抽出するアザン染色を行い、明視野画像を取得する。取得した像の線維化部分を抽出し、z方向に重ねて3次元再構成を行った。こうして得られる立体構造をもとに、解析を行った。一方で数理モデルを用いて疾患部分を表し、患部を必ず抽出できる針の径を考察した。3. 前年度までに解析した血管系である類洞の分布がフラクタルであることを用い、類洞の管径がべき分布するというモデルをたて、計算できる管の面積、体積、分岐の個数などを調べた。in vivo血液流速計測を行い、そのデータ並びに類洞の径のデータを集積して、これらの統計則と、フラクタルの性質から得られる統計則を比較、検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度、これまで苦戦していた多色蛍光染色画像から肝小葉内の3種の構造を抽出するアルゴリズムを作成し、うまく構造を分類することが可能になった。これまで、組織ごとに形態の解析を行っていたのが、今年度開発したアルゴリズムを用いれば、肝小葉内の主要3種の組織まとめての立体配置の解析や疾患になった際の形態変化が解析できるようになった。 このことも含め順調に解析が進んでいる。また、領域会議を通じて、さまざまな研究者と知り合うことができ、ニュージーランドのオークランド大の研究機関のグループとの共同研究の話など、肝疾患サンプルの構造解析などで共同研究を展開し、研究の幅を広げられるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進んでおり当初の研究計画にそって進める予定である。特に、今年度作成してきた多色蛍光染色画像から肝小葉内の3種の構造を抽出するアルゴリズムを用いて、疾患による類洞と毛細胆管の構造変異の相互作用解析に利用していき、詳細な解析の進展が見込めそうである。
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