公募研究
2000年以降に導入された術中MRIとナビゲーションシステムを連動させ、1750例以上の経験を有するなか、2004年以降、覚醒下脳機能マッピングを併用し言語機能の術後合併症の軽減に努めてきた。このマッピング手技の際、ナビゲーション画像や電気刺激及び患者反応の情報を同時にビデオ記録(IEMAS)しており380症例超に活用実績をもつ。この可視化プロセスは手術経験という暗黙知にとどまらない科学的評価、そして意志決定プロセスとして重要である。さらに、脳表面や白質を覚醒下手術中に電気刺激したprobeのアナログ位置情報をログ情報として記録し、患者の脳機能情報を術中MRIに付加することでデジタル化さらにはデータベース構築を行い臨床応用することを目的としている。覚醒下神経膠腫摘出手術施行時、マッピング時の刺激電極装置の位置情報をログとして取得し、術中MRIナビゲーションと連動させ、画像解析ソフト上で電気刺激部位のデジタル情報を得た。電気刺激によるログ情報の得られた17例で解析を行ったところ、言語停止(23)、言語遅延(14)、運動(15)及び感覚(1)反応点(合計53)が得られ、術中MRI上にプロットされた反応点ログ情報を術前MRI及び標準脳MRIに変換することが可能であった。従来のビデオ記録だけでは不確定な刺激位置情報の同定や、brain shiftの判定に有用であった。反応点の画像変換精度については、脳表上で言語停止が得られた10症例に対して近隣脳溝を基準に計測を行い、術前MRIへは4.5±1.0 mm、さらに標準脳へは5.8±1.4 mmと算出された。標準脳から手術前の患者MRIへの変換も行うことで、術前MRIへの脳機能予測部位と実際の手術における機能部位との一致度を2例で検証できた。実際の覚醒下手術において、術中MRIを用いた反応点の予測を併用した未来予測手術の実装を目指す。
2: おおむね順調に進展している
覚醒下手術実施例は予想通りの実施数を確保出来ていることに加え、術中反応点のデジタル情報取得の自動化を進めているため、データ取得手技の不具合も解消されている。現在は術中MRI上に標準脳での反応部位を変換する作業の時間短縮を進めており、30分以内の作業を行うことが出来れば実際の手術での応用が可能となるため、そのための研究開発を継続している。
患者の術前MRI上に術前機能予測部位を精度良く行いつつ、実際の手術での活用を本格化させる。1つの鍵となるのは術中MRIへの変換と手術室内での実装である。現在は変換の精度向上と時間短縮の2面の解決を図りつつ症例の蓄積を目指している。同時に標準脳を日本人特有の脳形状に変形させ、広く公開することでこの分野における研究推進を図りたいと考えている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
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