公募研究
機能性酸化物の多彩な物性とイオン結合の高い結晶歪許容性を生かし、近年明らかになってきた傾斜歪効果を生かした、Flexsoelectrisityによる双極子とスピン結合による新規マルチフェロ物質創成の実現を目指した。さらに、意図的に無秩序構造を導入する、“秩序-無秩序人工格子”による、双極子ゆらぎ(リラクサー物性)誘起の新規誘電体創成も狙った。1)歪超構造による特異構造の制御形成Ia3dの点群に属する立方晶の高い中心対称性の為に光学的・誘電的にも等方的なフォノン物性を示す希土類ガーネットの薄膜形成において、基板(GGG)と1.2%格子ミスマッチにより、極めて特徴的な傾斜歪超構造の存在を実験的に検証した。通常のエピタキシャル歪構造においては、基板/薄膜との界面を起点として均一な格子歪が生じることが知られている。しかし作製した一連の試料のTEM観察から、基板/薄膜界面から約50nm(臨界膜厚)は、面内圧縮歪による均一な正方格子(約5%歪)を示し、臨界膜厚付近50nmから約20nmに亘って格子歪が5%から1%へと(正方晶から立方晶へ)段階的に変化する傾斜歪構造が初めて確認された。さらに、この傾斜歪構造を呈する50-120nm近傍で、フォノン物性である誘電特性異常が確認された。2)傾斜歪誘起双極子と傾角スピンおよびエレクトロマグノン誘起に関する研究を実施した。:等方的空間群(立方晶系)を有するガーネットフェライトを対象として、極薄膜-基板間格子不整合による傾斜格子歪導入により、空間反転対称性の破れの実現を目指した。フォノンソフト化:双極子強結合(強誘電性)の実現に向けた実験および、傾角スピンと中心対称の破れの相乗効果によるDzyloshinski - Moriya(DM)相関により、スピン・フォノン結合型マグノン(エレクトロマグノン)誘起の実験を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って実験を行い、順調に進んでいる。
今後も引き続き、結合型マグノン(エレクトロマグノン)誘起とマルチフェロ物性の創発を目指す。ガーネット型鉄酸化物を研究対象として、前年度までに磁性―非磁性イオン相関によるクラスタースピングラスが150K近傍で発現することを確認できている。今後はより高温での発現、室温での発現に向けた物質設計、結晶歪設計を行い、併せて実験的確認をめざす。また、傾斜歪誘起双極子と傾角スピンおよびエレクトロマグノン誘起に関する研究を推進する。具体的には、等方的空間群(立方晶系)を有するガーネットフェライトを対象として、極薄膜-基板間格子不整合による傾斜格子歪導入により空間反転対称性の破れ実現。フォノンソフト化:双極子強結合 (強誘電性)の実現と、傾角スピンと中心対称の破れの相乗効果によるDzyloshinski- Moriya(DM)相関によりスピン・フォノン結合型マグノン(エレクトロマグノン)誘起の実現を目指す。加えて、スピン・フォノン結合型マグノン誘起:歪勾配誘起のエレクトロマグノン発現を検証するため、磁場・電場制御可能な分光エリプソ手法を開発し、スピン-フォトン、フォノンーフォトン相関を精密に実測可能な実験系構築を目指す。これによりそして鉄ガーネット結晶における傾斜歪構造が超交換相互作用を有する鉄4面体・鉄8面体サイト間の傾角(磁気誘電カップリングに由来する歪誘起スピン傾角構造)が、撓電性自発分極Spin Flexoelecrticityを誘起することが実験的に検証可能となる。
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