研究領域 | 特異構造の結晶科学:完全性と不完全性の協奏で拓く新機能エレクトロニクス |
研究課題/領域番号 |
17H05331
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原田 俊太 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 講師 (30612460)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炭化ケイ素 / パワーデバイス / 積層欠陥 / キャリアライフタイム / X線トポグラフィ / その場観察 / 時間分解フォトルミネッセンス |
研究実績の概要 |
SiC(炭化ケイ素)はSiに代わる次世代パワーデバイス材料として注目されている。SiC中の転位や積層欠陥は、パワーデバイスの性能や信頼性に影響を与えるため、欠陥密度の低減が求められている。SiCパワーデバイスにおいては、積層欠陥の形成が問題になっている。バイポーラデバイスにおいて、順方向動作時に基底面転位からショックレー型積層欠陥(SSF)が拡張し、順方向電圧が降下する現象が報告されている。同様の積層欠陥の拡張は、紫外線照射によっても生じるため、キャリアの再結合が関与していると考えられている。しかしながら、積層欠陥の拡張メカニズムは未だ不明であり、現在、SiCパワーデバイスの高性能化に向けて、積層欠陥の抑制方法が検討されている。 本研究では、パワーデバイスにおける劣化現象を逆手に取り、SiC結晶中の積層欠陥を外部からのシグナル(紫外光の照射、電圧印加)によってアクティブに積層欠陥を制御することを目指す。このために、本研究では、紫外光照射その場X線トポグラフィ観察と、キャリアライフタイムの測定により、積層欠陥拡張現象を定量化し、転位論と半導体物理をブリッジングする物理モデルを構築しすることを目的としている。 2017年度は、転位論に基づき積層欠陥の拡張・収縮速度を定式化し、キャリア再結合による積層欠陥エネルギーと活性化エネルギーの変化が、現象の本質であることを見出した。また、あいちシンクロトロン光センターにおいて紫外光照射その場X線トポグラフィーシステムを構築し、積層欠陥が拡張する紫外光照射条件を取得した。また、時間分解フォトルミネッセンスにより、欠陥におけるキャリア再結合速度を評価した結果、バルクと比較して約100倍の再結合速度であることが明らかとなった。この結果は、欠陥において優先的にマイナーキャリアの再結合が生じていることを示唆しており、転位論に基づく物理モデルと一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2017年度に実施予定であった、その場観察システムの構築、欠陥におけるキャリアライフタイム測定、積層欠陥拡張における紫外線照射強度依存性取得に加えて、前倒しで物理モデルの構築も着手している。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に構築したモデルを基に、観察結果の解析を行うことで、2018年度に予定しているアクティブ制御の指針取得に速やかに移行することが可能となっている。
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