本申請では、蛋白質の持つ異方的な配位場と、蛋白質結晶の材料としての特性に着目し、「多孔性蛋白質結晶内の金属錯体機能制御」を目指す。具体的には、(1)多孔性蛋白質結晶への金属配位場設計、(2) 金属配位による蛋白質結晶内細孔の機能化から、(3) 蛋白質結晶内細孔の動的複合機能制御を達成する。申請者がこれまで進めてきた金属化合物と蛋白質結晶の複合化技術を基軸に(JSTさきがけ研究、最先端・次世代研究開発支援プログラム)、蛋白質結晶を金属錯体の新しい反応場として利用する試みは、従来の生物無機化学や錯体化学の可能性を拡げる新しい配位制御技術としても、バイオから材料化学まで分野を超えたインパクトを与えると考える。本研究では、細胞内で自発的に極めて安定な結晶を形成する「多角体」の蛋白質結晶を用いて金属配位による機能化を進めた。特に、今年度は細胞内で形成された多孔性蛋白質結晶へ、細胞内で直接金属イオンと反応させることによる金属配位を達成し、金属錯体の集積可能な反応場を確認した。
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