研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05366
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大坪 主弥 京都大学, 理学研究科, 助教 (90601005)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金属-有機構造体 / ナノチューブ / らせん錯体 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、近年我々が合成に成功した混合原子価次元クロスオーバー錯体を基盤材料として、キラリティーを導入した非対称内空間を有する金属錯体ナノチューブや、自然分晶する人工らせん錯体を用いた機能性材料の開発を行う。特に、(1)ボトムアップ合成に基づいた金属錯体ナノチューブへの非対称内空間の導入と疎水性/親水性の精密制御、非対称内空間に基づいた新規のプロトン(水分子)ダイナミクス、クラスター形成の解明、(2)らせん性(ヘリシティー)を制御した人工3重らせん錯体の薄膜材料を使用した円偏光発光特性・電子物性を有するキラル液晶相の構築を目指す。 初年度であるH29年度は、多様な内空間を持つ金属錯体ナノチューブの構築を目的として、柔軟なメチレン鎖を有する有機配位子からなる菱形白金環状錯体を基盤とした新規の2本鎖型金属錯体ナノチューブを合成することに成功し、比較的高いプロトン伝導性を見出すことに成功した。これまでに我々は、およそ 0.2 nm ~ 1.5 nmの開口径を有する種々の金属錯体ナノチューブの合成と構造解析に成功しているが、これまでの結果をさらに拡張し、柔軟な有機配位子や種々の長さを持つ有機配位子の固溶化(ナノチューブの断面が三角形や長方形型となると予想できる)により、金属錯体を基盤としたボトムアップ合成技術でしか成しえない実験的な疎水性空間の設計・制御を行うことを目的として、二種類の配位子の固溶化による長方形型錯体の合成を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規の2本鎖型金属錯体ナノチューブを合成することに成功し、比較的高いプロトン伝導性を見出すことに成功した。これにより、錯体ナノチューブの開口径とプロトン伝導性の相関をより明確にすることが出来た。長方形錯体を用いたナノチューブの合成は未達成であるものの、現在のところ一部の配位子の組み合わせにより長方形錯体の生成を示唆する結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となるH30年度は、H29年度に未達成だった直方体型ナノチューブの合成を達成し、その構造とプロトン伝導性の相関を明らかにすることを目標とする。また、3重らせん錯体を用いた機能性材料の構築にも取り組む。
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