研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05371
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結晶工学 / 多孔性構造 / 超分子 / アシンメトリー |
研究実績の概要 |
多孔性物質のナノ空間表面を配位性分子で化学修飾し、触媒金属を配位させることで高度に制御された非対称反応場を創出し、物理刺激(光、熱)を印加することにより反応が進行する高度に制御された超分子不斉ナノリアクターを創製することを目的としている。 多孔質空間内に非対称性を創出するために3回対称性を有した多孔質有機塩の設計を行った。特徴的な4+4クラスター連結を有しながら3回らせん軸を持たせるために、同一方向にスルホ基が配置されたアントラセンジビニルスルホン酸(ADVS)を合成した。ADVSとトリフェニルメチルアミン(TPMA)を1:2のモル比で混合し、鋳型分子と再結晶するとスルホン酸とアミンが4つずつ電荷補助型水素結合により超分子クラスターを形成し、それがさらに高次構造を形成することで階層的な集積によって多孔質構造が得られた。この多孔質構造はADVSが3回らせん軸に沿って連結されている。さらに2つのネットワークが相互貫入し、三次元の籠目構造を形成していた。この多孔質空間は一辺が約20Aの三角形の主孔と直径が7Aの副孔から形成され、空隙率が37%と有機多孔質材料としては比較的大きな空孔を有している。またこの空孔は6本の3回らせん軸に沿って形成されており、結果として非対称な空間が構築される(Space group: P3121)。ただし、キラルな3回らせん状空間の進行方向は1つおきに交互しており、一方向に揃った極性は有していない。この多孔質構造はCO2とH2を選択的に吸収する。この時、CO2は2段階で吸着され、H2は大きなヒステリシスを持つことが解った。これは副孔に段階的にガスが吸着され、一旦入ると脱着しにくいためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではアシンメトリーな多孔質空間を作製するとこと第一の目的としている。当該年度内に目的とする有効な空間を作製することに成功しており、さらにその汎用性についても確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
作製に成功したアシンメトリーな多孔質空間を反応場として用いるために、触媒金属を導入し、反応場に展開する。
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