公募研究
本研究は、レドックス活性能を有するキラル錯体分子集合体を創成し、凝集相における電気化学反応を誘発することで、不斉構造と連動した異方的相状態の動的変換と機能発現を指向している。当該年度においては、シンコニジウムカチオンなどのキラルカチオン認識能を有する[Δ-PⅤ(Cl4Cat)3]-(Δ-TRISPHAT)と類似構造を有するレドックス活性[CrIII(Cl4SQ)2(Cl4Cat)]-を用いることで、動的なレドックス誘起不斉機能変換を指向した。(n-Bu3NH)[CrIII(Cl4SQ)2(Cl4Cat)]と半当量のcinHをCH2Cl2中で反応させ、CH2Cl2に可溶な紫色固体と不溶性紫色固体を単離した。両生成物の溶解度の違いから、前者は(n-Bu3NH)カチオンを含む錯体である一方、後者はかさ高いカチオンであるcinHを含む(cinH)[Δ-CrIII(Cl4SQ)2(Cl4Cat)]であることが示唆された。以上の結果から、本レドックス活性Oh型アニオンの不斉認識能が示唆された。続いて本研究では、不斉レドックス活性錯体を用いた超分子結晶・液晶・液体を創成すべく、レドックス活性錯体に修飾し、中間相の形成に大きな影響を及ぼす側鎖に着目し、従来の剛直且つ疎水性アルキル鎖に加え、柔軟性と両親媒性を併せ持つDEG鎖を修飾した新規錯体群[Pt(R-Cat)(R'-bpy)]を合成し、各物性への導入効果影響を検討した。その結果、[Pt(Cat)(C9bpy)]及び[Pt(Cat)(DEGbpy)]は、鎖種に依存した集積構造を形成した。また[Pt(C8Cat)(DEGbpy)]は異種側鎖の共存により液晶相を形成することも初めて明らかにした。更にDEG鎖修飾により低極性溶媒中で錯体の自己集合を誘発可能であることを明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Chemistry A European Journal
巻: in press ページ: in press
10.1002/chem.201900172
Scientific Reports
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European Journal of Inorganic Chemistry
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