研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05387
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中井 英隆 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70377399)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 合成化学 / 光物性 / プロペラキラリティー / テルビウム錯体 / ガドリニウム錯体 |
研究実績の概要 |
本研究は、独自に開発してきた「ラセミ体の光機能性錯体」を糸口に、プロペラキラリティー配位空間を構築・制御するとともに高次光機能の創出を目的としたものである。具体的には、1,4,7-トリアザシクロノナンを基本骨格とする6座配位子を用いて合成できるラセミ体の「f-f発光を示すテルビウム錯体」および「配位子由来のリン光を示すガドリニウム錯体」を起点に、プロペラ状に配向した配位子に基づくC3対称プロペラキラリティーを誘起・制御し、キラル錯体の合成を目指している。合成したキラル錯体の光物性および触媒能を、円偏光発光特性や光不斉触媒能に着目して明らかにする計画である。本研究を通してA01班が推進する金属中心の非対称配位圏の定量的設計に基づく高次分子機能の創出に貢献するとともに、領域内共同研究を通して自己組織化(A02班)や分子認識(A03班)に基づく機能の創出にも挑戦している。 平成29年度は、当初の計画通り、すでに合成に成功している「ラセミ体の発光性ランンタニド錯体」の溶媒配位サイトでの配位子交換反応により、プロペラキラリティーの誘起・制御を試みた。その結果、キラルカルボン酸などの添加によって、円偏光発光が誘起できることを見出した。また、新規なプロペラ配位子を有する「酸素に応答する発光性テルビウム錯体」や「室温でリン光を示すガドリニウム錯体」の合成に成功した。さらに、領域内共同研究を通して、キラル結晶中で進行する光異性化反応を単結晶X線回折実験によって追跡したところ、反応に誘起される協働的な「アルキル鎖の反転」を見出すことができた。上記成果および本研究遂行に伴い派生した成果は、日本化学会第98春季年会等で発表するとともに1報の学術論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画に沿って研究を進め、配位子交換反応により、プロペラキラリティーが誘起できることを見出した。また、新規なプロペラ配位子を有する「酸素に応答する発光性テルビウム錯体」や「室温でリン光を示すガドリニウム錯体」の合成に成功した。さらに、領域内共同研究を通して、キラル結晶中で進行する反応に誘起される特異な現象を見出すことができており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に進めてきた「重点課題1:キラルテルビウム錯体の開発」および「重点課題2:キラルガドリニウム錯体の開発」で得られた知見に基づいて、下記重点課題に軸足を移して研究を進める。 (重点課題3)高次光機能の創出:平成29年度に、プロトタイプのテルビウムおよびガドリニウム錯体の「溶媒が配位している空配位座」での配位子交換反応により、プロペラキラリティーが誘起できることを見出した。また、新規に合成したテルビウム錯体が酸素に応答することも明らかにしている。平成30年度はこれらの知見をもとに、新規な配位子・錯体を設計・合成し、円偏光発光特性や光不斉触媒能を制御する。すなわち、合成と機能の評価を繰り返し、円偏光発光特性や不斉光酸化反応の自在制御といった高次光機能の創出につなげる。 (重点課題4)自己組織化等による高次分子機能の創出:平成30年度は、平成29年度より開始した領域内共同研究を積極的に進め、自己組織化(A02)や分子認識(A03)等を通して、申請者が開発している単独分子だけでは見出すことのできない機能の創出に挑戦する。
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