研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05392
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山本 浩二 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70647198)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サンドイッチ錯体 |
研究実績の概要 |
金属周りのキラル環境場の構築は、不斉分子認識や不斉触媒反応等キラル構造に基づく特異な性質を示すため、活発に研究がなされている。一方で、後周期遷移金属におけるサンドイッチ錯体群は18電子則の制約が足かせとなり、基質を金属中心上で受容する能力がないため、金属中心を不斉分子認識や不斉反応場などの物性発現のプラットフォームとする不斉反応にはほとんど用いられてこなかった。本研究では、後周期遷移金属三核サンドイッチクラスターの構造に着目し、これを用いて非対称配位圏の設計・構築法を確立することを目的とする。 平成29年度は、白金を含む三核サンドイッチ錯体の還元反応について取り組んだ。その結果、一電子還元によって選択的な金属-金属結合の形成を伴う二量体が形成することがわかった。これらの錯体は各種NMR測定およびX線結晶構造解析等によって構造を明らかにし、2つのトロピリウム三核サンドイッチ構造が約90度ねじれてPt-Pt結合を形成していることがわかった。金属骨格は6つの金属原子の相対的配置関係により、キラルな錯体であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異種金属混合サンドイッチクラスターの1電子還元反応によりいくつかの三核サンドイッチ錯体二量体を合成した。また、それらの構造を明らかにすることによって、選択的な金属-金属結合が形成されることを見出した。よって本研究は、おおむね順調に進展していると判断出来る。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、非対称な異種金属三核サンドイッチ錯体の二量体の合成およびその構造解明を引き続き進めていくと共に、それらの物性評価に取り組む。また、キラルな錯体の選択的な合成手法の開発に取り組む予定である。
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