研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05394
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮島 大吾 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, ユニットリーダー (60707826)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | キラリティー / 強誘電性 |
研究実績の概要 |
本研究では強誘電的キラリティースイッチの実証を目標に研究に取り組んできた。 強誘電的キラリティースイッチとは、強誘電性、すなわち自発分極の反転に伴い分子のキラリティーが反転するような系を指す。我々が知る限り分子のキラリティーと強誘電性を同期することに成功した例は存在しない。このような系の実現にはキラリティーが反転すると分子の双極子モーメントが反転するような系を利用する必要がある。本研究では2価の14族の金属イオンを配位したフタロシアニンを用いることで、この目標に挑戦した。 フタロシアニンは平面構造を取るが、2価の14族のイオンはフタロシアニン平面から飛び出るように配位することが知られている。そのため、Pb(II)フタロシアニンなどはシャトルコック構造を取る。プロキラルなフタロシアニンにこれらのイオンを配位するとキラルになり、このイオンがフタロシアニン平面を通り抜けると双極子モーメントが反転すると同時にキラリティーも反転することになる。これまでSn(II)フタロシアニンにおいて、STMで観察しながら高電界を印加するとSn(II)がフタロシアニン平面を通り抜けると報告されいてるが、薄膜などのバルク状態でこれらのイオンが通り抜けることを実証した例は存在しない。本系ではキラルなフタロシアニンを用いることで、強誘電的キラリティースイッチを実証するとともに、2価の14族の金属イオンがフタロシアニン平面を通り抜けることをキラリティーを利用することで証明することも目標とした。これまで標的となる分子の合成ならびにキラルなフタロシアニンの光学分割に成功している。現在CD測定などを用いてキラリティーの反転が起こるかどうかを調べている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では当初キラルなSn(II)フタロシアニンの合成に挑戦したが、Sn(II)が酸化されSn(IV)になってしまうなどの問題に苦労していた。そこで反転しにくいが合成しやすいPb(II)フタロシアニンに切り替えた結果、キラルなフタロシアニンの合成に成功した。現在このPb(II)フタロシアニンのキラリティーが反転するかをCD測定を用い評価しているが、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
合成・単離したキラルなPb(II)フタロシアニンを用いてPb(II)がフタロシアニン平面を通り抜けるかどうかを調べる。温度を最適化するだけでなく、フタロシアニンが存在する環境(ポリマーマトリックスに分散するなど)など振ることで、まずは熱的に通り抜け実現を目指す。熱的な通り抜けが実証されれば電場を印加し、強誘電的にキラリティーをスイッチできるか調べる
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