研究領域 | スロー地震学 |
研究課題/領域番号 |
17H05418
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90370808)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | SSE / GNSS / グローバル / 沈み込み帯 |
研究実績の概要 |
世界中のGNSSデータを用いて小規模な短期的SSEを網羅的に検出するため、本研究計画の1年目であるH29年度はメキシコ太平洋沿岸地域のGNSSデータを用いた予備的な解析と世界のGNSS観測点データの公開状況の調査及び公開データの予察的調査を行った。 メキシコではメキシコ自治大学で管理しているGNSS観測データの提供を受け、Nishimura et al.(2013)の手法を適用してココスプレートと北米プレートの境界に発生するSSEの検出を試みた。その結果、2010年1月31日頃にオアハカ州で発生した短期的SSE(Mw6.3)など、従来報告されていない短期的SSEの検出に成功することが出来たが、検出された総数は数例にとどまった。その原因として、メキシコではGNSS観測点の密度が低く短期的SSEに伴うと考えられる変位を検出できたとしても、変位を検出した観測点が1-2点しかない場合が多かった。そのため、SSEの断層モデルをうまく推定できず、Nishimura et al.(2013)のような断層モデルでのフィッティングの良さでSSEかどうか判定する方法では、検出数が限られてしまうと考えられる。 世界のGNSSデータは、GNSS観測網を維持する機関から公開されているが、ネバダ大学測地研究室では、各機関から公開された生データを収集・解析して、座標時系列データとして公開している。この公開データから日本のGEONETの座標時系列データをダウンロードし、京都大学で解析した座標時系列と比較したところ、両者はほぼ一致し短期的SSEの解析に十分耐えうる品質のデータであることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グローバルGNSSデータの確認については、概ね当初の予定通り公開座標時系列データの精度検証とメキシコ地域での予備的な解析を行うことができたため、当初の予定を上回る進展が見られた。 一方、複数のSSE検出手法の比較を行うために新たに開発予定であったGeodetic matched filter法を用いた短期的SSEの開発が、H29年度中に終了させることができなかった。そのため、総合的な進捗状況としては、やや遅れていると判断した。メキシコでの短期的SSEをGeodetic matched filterで検出した論文が発表されるなど、検出手法自体の有効性は確認されているため、H30年度の速い時期にGeodetic matched filterの手法のソースコードを開発して、実データへの適用を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は、まずMatched filter法を用いた短期的SSE検出手法を完成させ、西南日本のデータを用いて既存の手法(Nishimura et al., 2013)との比較検討を行う。次に、ネバダ大学測地研究室の公開するデータを用いて、ニュージーランド、北米カスケード地方などにおける短期的SSEの網羅的検出を行い、SSEの発生環境に対する考察を行う。
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